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勇者な村人D  作者: ネコモドキ
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勇者な村人D 3話

今日はこれで終わりです。

 

 アルグ王国、王都から馬を走らせ二日と少しーーー。


 ひたすら続く田舎道をやっとの思いでカサン村に辿り着いた【聖騎士】隊。


 そのカサン村付近で、第一村人を発見していた。


「おや、あなた方は……?」


 王都では珍しい黒髪黒目の青年。優しげで、真っ直ぐな瞳が眩しい好青年(身長もそれなりある)……という評価がついた。


「む、もしやカサン村の住人か?拙達はアルグ王国から派遣された【聖騎士】隊。そして、拙が【聖騎士】隊副隊長ディオン・オリオンである」


「ディオンさんですね?ようこそカサン村へ。私達はあなた方を歓迎致します………それで、此方に参られた理由はやはり?」


「ああ、例の謎の発光物体についてだ。後、格式張った話し方は出来ればやめて欲しい。拙達は確かに王都で地位も位も持ってはいるが、元はゴロツキや村人の出が多い。正直、フランクな話し方の方が楽だ」


「成る程……所謂『成り上がり』ってやつですね?尊敬します。ええと……じゃあ、よろしくディオン。僕の名前はヒスイ・シンク……性はヒスイで名はシンクだ。この村では、村人D辺りをやっている……かな?王都ではこの名前は珍しいと思うけど、このカサン村は色々なところから人が来てるから。多分、珍しい人を探すなら、王都より多いと思うよ?」


「村人Dとやらはよく分からんが………ほう……確かに、改めて見ると村と言うより『街』だからな……外壁も立派なものだし……何よりちらほら見かける村人達の顔にはイキイキとしたものが見える」


「あ、あの……私からも一ついいか?」


「え、ああ……はい?」


「む、ああすまない……こんな、なりでは信じられないかもしれないが、私が【聖騎士】隊隊長のシャーロット・S・ガーネットだ」


「ガーネット?はて……ガーネット、ガーネット……何処かで聞いたような……?」


「現国王の性だな」


「ああ、そうだ!ガラド・S・ガーネット国王だ。あ、と言うことは……」


 シンクと名乗った少年の顔からはサーっと、血の気が引いて行く。どうやら、気づいたようだ。


「と、とんだご無礼を……」


「いや、いい。気にしないでくれ………」


「あ、すみません……今、なんと?」


「む、むう……やはりコレを着ていては話し辛いし、聞き辛いか……」


 どうやら、シンクは緊張で聞き逃したらしい。まあ、

 甲冑で声がくぐもって聞こえ難いと言うのもあるだろうが。


「すまないな、ヒスイ」


 言うや否や、フルヘルムを馴れた手つきで外して行くシャーロット。


 よほど暑かったのか面倒だったのか、他の【聖騎士】隊の面々も次々に外して行く。


 そして、聞こえてきたのは『ほぅ……』という誰のものか分からない……いや、目の前の村人……シンクの感嘆した為につい出てしまった無意識の呟き。


 そこに現れたのは一人の少女。ただし、上には美麗や可憐という言葉の付く。


 プラチナブロンドの、腰まである流れるような髪が、陽を反射しキラキラと煌めく。


 玉の汗が上気した頰を伝い、年齢などお構いなしに色気を醸し出す。


 そして、顔の中心にあるガーネットの瞳。その輝きは、本物のガーネットと比べても遜色ない……いや、本物以上とも言えるだろう。


 まさにこの世の宝石が詰まった芸術品のよう……思わず一人の村人を魅了してしまう以上の価値(・・)が、そこにある。


「ほぅ……副隊長さん、女性なんですか?」


「「「「え?」」」」


 よく見ると、シンクの顔は実にポケ〜とした顔だ。この、シャーロットの顔を見た時の男性陣の反応とは大きな違いがある。


 みんな、頰を赤らめて、狼のような目をするのだが……当の村人はそんなもの一切考えても……思ってもないようだ。


「な、何者なんだ……」「た、隊長の素顔を見ても動じないなんて……」「ま、まさかそっち!?」「キャーーー!」「いや、確かに我も最初、副隊長は男だと思っていたけど……」


 ザワザワ、ボソボソ……シンクにとって明らかに不名誉極まりない言葉が幾つか混じっていた。


「い、いえあのですね、皆さん………」


 シンクが誤解を解こうとしたその時……



 ウーーーッ!ウーーーッ!ウーーーッ!


「警報か!?」


「はい!どうやら、東の森で大型モンスター【トロール】が発生したようです。僕は行きますが……皆さんはあくまでお客人。ゆっくりして行ってください」


 終始、笑顔を崩さず語りかけるシンク。しかし、ここではいそうですか。と言ってしまえば、【聖騎士】隊の名折れ。


【トロール】……黄色い皮膚を持った醜い巨人。だが、【聖騎士】隊なら三人で囲めば勝てる相手だ。


「いえ、拙達も行きますよ、シンク殿!」


 綺麗に、肩のところで切り揃えられさた赤髪を振り回し、ディオンが叫ぶ。


「………ですが、シャーロット様、【聖騎士】隊の皆さんの身に万が一何かあった場合は……」


「ふふ……ご心配には及びません。私達はこの為に日々、努力してきたのですから!」


「………分かりました。では、此方です」


 こうして、ついて早々、トロール退治へと走る【聖騎士】隊であった。



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