勇者な村人D 14話
……昨日投稿するのど忘れてたああああ!
今日、午後にもう一話投稿します。
……すみません。
「……ところでさぁ、最初に言ってた修行って?」
「ん、覚えていたのか?……その通り、修行してたんだ。二人で」
シャリー・ベーカリーと偽名を名乗った後……つい、気になった事を聞いてみた。
「し、修行って……そんな前時代錯誤的な……」
「……これだから、お貴族様と言った才能の上限が見えないチートどもが……」
「ん?なんか言った」
「クカカ……いいや、何も?(ペッ)」
「なぁ……特に何もないよなぁ〜(チッ)」
「唾吐いたね!?舌打ちしたね!?」
こうして見ると、本当に血の繋がった兄妹……みたいだ。なんでこんなにも息が合うのだろうか。
「で?やるのやらないの……?」
「………ぅっ……一人、やらないのもなんだし……私もやる!」
「ぼっちって大変そうだな……」
「言ってやらぬのが優しさじゃぞ?」
「〜〜〜っ!うるさい!」
☆
ーーーそれから次の日。……次の日?
アレ?次の日………昨日の記憶が、無い?
身体に傷はないし……
「ねぇ、シンク。私、汚れてないのだけど?」
「………シンク。お前、それはダメだろう……」
「え?」
「おい、老婆心ながらにアホみたいなこと言ってんじゃねえぞ、ロリババァ」
「ちょっ、どういう事……」
「『汚れてない』ってつまり……男女のそういう事だよなぁ?……この、おませさん♪」
「えっ……ちょっ……ああ!……ちが……う」
「ーーーおい、シャル、こいつもうぶっ殺そうぜ?」
「シャル?」
「ん、ダメだったか?」
「いや、別にいいのだけども……」
「そうか、よし改めて、シャル。昨日の修行の続きだ。あのロリババァをはっ倒すぞ!」
「あ、その事なんだけど、私……昨日の記憶が全くと言っていいほどないの。それに……よく考えてみればお風呂にも入ってないのに身体は綺麗だし……」
「ああ、それならフローラの魔法だ。初代勇者のオリジナル魔法【清潔魔法】とフローラの得意魔法【回復】のお陰だな。因みに、フローラの【回復】は滋養促進。細菌除去などの追加効果があり、かなり評判がいいんだ」
何処情報よ!とかオリジナル魔法?とか、色々聞きたいことはあるけど……それよりも初代勇者?
初代勇者ってあの……初代勇者よね?
深紅の瞳に夜を思わせる黒い髪を持った伝説最強の勇者にして最悪の勇者。
魔族の旗の元、人類種に牙を剥いたとされる超極悪人。
ーーーそれが、初代勇者ヒ■■・シン■
「……ねぇ、初代勇者の名前ってなんだっけ……?」
「どうしたんだ、藪から棒に?」
「いえ、名前を思い出そうとすると、靄がかかったみたいに思い出せないの……」
「思い出せないのだったら、別にいいんじゃない?さほど大事な記憶でもなかったって事だろ?」
「うぅ……それはそうなんだけど……何か気持ち悪いっていうか……」
奥歯に小骨が刺さっているみたいな……そんな、もどかしささえも感じる。
「クククッ……話は済んだかい?それにシャル、どうせすぐに思い出すさね。今は目の前のことに集中しな」
「は、はい……」
集中……。集中…………。
ーーーあれ?なんで私。魔族の言いなりになっているのだろうか。
「シッ!」
「うらぁ!」
ーーーカッ!
「!? キャアァッ!」
一瞬だけ見えたのは、フローラがシンクに突進しに行った瞬間だけ。
その後、光って、地面が、空気が、空間までもが爆ぜて、閃光が空を貫いた。
森々は泣き叫び、大地は陥没したり隆起したりと、かなり忙しい。
「ふぅ……」
「ハァ……ハァ……小手調べにしちゃあ上出来だよ……ハハッ!」
汗一つかいていないフローラと、はたから見ても満身創痍……だけど何故か上から目線のシンク。
だが、これはきっと彼のいう通り小手調べにしかならないのだろう。
ーーーその小手調べの過程で、地面にクレーターは勿論のこと、凍ったり、ドロドロに溶けたり、マグマみたいに溶解している箇所を作り出すのは流石にやり過ぎだと思うのは私だけだろうか?
「………思い出した……」
そして、唐突に思い出す前日の記憶。
いや、あれは悪夢といっても差し支えない。
つっーっと、嫌な汗が背中を伝う。思い出すだけでかなりのトラウマとなっているようだ。
「やっぱり………やらなきゃダメだよねぇ……」
そうだ。それは私への……自分への“罰”だ。
心が弱かったせいで、名前の一つも言えなかった自分への。
ーーーもし、この修行を乗り越える事ができたのなら……
不思議と、なんでも出来る気がしてきた。




