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僕の小さな救出作戦  作者: 桜 舞華
極めて平凡で概ね平和
9/16

幼馴染はひきこもり

 幼馴染のエミカは、小心者で童顔で、幼馴染というより妹と言えるやつだった。

 俺の妹の方がよっぽど、しっかりしていた。

 昔はよくからかわれて泣いて、妹に慰められてた。からかったやつは俺がしっかり天罰を下しておいた。

 エミカを守るのは俺の役目で、エミカを慰めるのは妹の役目。成長してもそれは変わらない。

 エミカは幼馴染の俺をどちらかというと兄のように慕っていた……と思う。

 乙女心は秋の空のように移ろうものらしいので、今現在はパシリ要員にされていたとしても不思議で無い。


 で、そんなエミカは大学進学の際、何故か俺と同じ大学を希望し、小心者の割りに頭の良いエミカはすんなり合格してた。

 さらに言えば、隣のアパートにいつの間にか引っ越してた。気がついた時にはひきこもり症候群。


 そんな幼馴染からの、久々のメールがこれか……。SOS、ね……。


 若干嫌な気しかしない。

 割と最近も思ったが、俺の予感は当たる。悪い方向で。


 とりあえず、幼馴染のよしみでメールは開いた。犯罪臭がしたら警察に突き出そう。

 エミカはひきこもりを謳歌しているようなので、今更助けるも何もない。そのまま謳歌し続けてください。

 いや確かに、俺はエミカを守るよ?でもさ、ほら、人には限度というものがあるだろ?


「にゃにブツブツ言ってるんだ?」


 全部声に出ていたようでした。

 数時間前は一人暮らしだったんで、独り言多いんだよ、気にするな。


「まぁ、うん、あれだ。気にするな」


 気にするな、だけ伝えて置いた。


 さて、本命のメールだ。


『件名・SOS

 本文・

 お久しぶりです。アキ。お元気ですか。私は元気ですが家から出たくありません。

 件名に驚かせてしまったかとは思いますが、まぁ幼馴染ですのでエミカめを助けていただけると嬉しさ余って憎さ百倍です。』



 あれ⁉︎俺憎まれちゃった!

 嬉しさって余ると憎さに変わんの⁉︎


『で、私が何に困っているかというと、親からの仕送りを絶たれそうです。絶たれたく無ければバイトしろ、せめて大学行けと言われました。死にそうです』


 ……死にそうらしい。

 そして、そうか、エミカ両親とうとう愛おしい1人娘を突き放す覚悟ができたか……。

 エミカは親に愛されすぎてる子だ。今までの引きこもりも親公認。親公認ってどんなひきこもりだよ。俺に聞くな。知るか。


『割と本気で死にそうです。』


 俺は先ほど、目の前で死にかけていても大事な人を助けてはいけないとのお達しをいただいたので、メールスルーしていいですか。

 メールスルーって、語呂が良い気がするのは俺だけですか。


『アキ……いや、アキ様。バイト先の紹介と、大学の付き添いをお願いしたいです。助けて』


 メールはそれで終わっていた。


 真剣にSOSかと、少しは考えていたので拍子抜けである。だけど、エミカにとって仕送りは生死を分けるのだろうから、一大事だろう。


「なぁ、ナゴ」

「にゃんだ?」


 さて、俺は今からナゴに携帯を見せる。

 できれば面倒なので、これも大事な人を救うという行為に入って欲しいな、なんて冗談半分で考える。

 読み切ったナゴは冷たい目を俺に向けて、はぁぁぁぁぁあとやたら長いため息を吐いた。


「面倒にゃにょはわかるが、これはやっても問題にゃいぞ。むしろやってあげろ。おさにゃにゃじみだろ」

「そーですね。残念ながらお魚馴染みですよ」


 幼馴染ではなく、お魚馴染みに聞こえたのは多分ナゴのな行の発音のせいだ。俺は英語の発音を習ってくるから、ナゴには日本語教室に行かせようか。


「はぁ。じゃあ、仕方ない……バイト先紹介するか」


 本当は嫌だが、エミカには俺の行ってるバイト先に入ってもらおう。丁度店長が若い子1人欲しいって言ってたし。

 採用されなかったら……まぁその時はその時考えよう。


「ナゴ、出掛けてくる」

「おれも行くぞ?」


 当たり前だとばかりに言われた。

あぁそうかい。じゃあ勝手についてこいよ。

 もう俺は何も言いません。


 エミカにはすぐに迎えに行くと書いて送った。あいつは行動がゆっくりなので、こう書いてないと俺が行った時に全く用意できてない可能性もある。


「よし、じゃあ行くか」


 俺も準備をして、家を出た。

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