幼馴染のSOS
さて、今日の大学もなくなったし……。
スケジュール帳を埋めるための予定が全て大学の講義な俺は、どうやって1日過ごそうか。
割と適当に週末は過ごすが、予想外の休日はどう過ごすべきだろうか。
「にゃにしてるんだ?」
手持ち無沙汰なあまり、部屋を牛のように歩いていたらしい。牛って……。のっそのっそ歩いていたとでも言いたいのか。
「いや、別に何にもしてないけどな」
「そうか。あぁ、そうだアキ。おれはしばらくこにょ家にいるわけだから、トイレとかおれにょ使うもにょ揃えてくれ」
この家にいるわけだから。
許可した覚えはないがな。まぁでも、節操なくあちらこちらでトイレされても困るので、買いにいかねばならないか。
「それから、おれにょ首輪も買ってくれ」
「首輪……?お前、そう言う趣味が……」
これは面白い疑惑の種。
大事に埋めて発芽させてやろうか。
「違うわ!おれが野良にゃこと間違えられて連れて行かれるにょを防止するためだ!」
「あ、そ」
なんだ。つまらんな。
まぁ、そこまで言うのなら買うか。えー。めんどくせぇー。
そして、連れて行かれるって。何を自意識過剰に思っちゃってるのか、この猫は。
大事な人うんぬんの話とかが無ければ、どうぞ引き取って下さいって感じなんだが。
「そうと決まれば、善は急げと言うから今から買いに行くぞ!アキ」
何故かナゴは張り切っているようだ。
一人オー!と手を上げて玄関までトテトテと走って行った。
おい待て。誰が今から行くなんて言った。
「今からなんか行かないぞ」
めんどくさいし。
「にゃんっ⁉︎」
ナゴはこの世の終わりを知ったみたいに驚いていた。そこまで驚くことではない。
「にゃあーん……」
悲痛そうな声を上げて、カリカリと玄関を爪で引っ掻いていた。傷つくのでやめろ。
さて、俺はたまったビデオでも見ようか。
テレビのリモコンを持ってテレビに向ける。気分は狙撃手。電源ボタンを押してばきゅーん。ならぬ、スイッチオン。
ぴろろろろーん。
違うところに飛んで行ったらしい。
マナーモードにしていない携帯が、ここぞとばかりに喚いた。母と妹、たまに父親からしかこない俺の携帯が。
「おい、アキ。にゃんかにゃってたぞ」
しょぼーんとしながら、玄関から歩いてきたナゴが携帯をくわえていた。
くわえんな。壊れるだろ。
ま、壊れたらタッチパネル式の携帯でも新規に購入しようかと思うので、壊れてもいいが。
「さんきゅ」
くわえて来たことは不問にしてやり、代わりにお礼を言って携帯を受け取った。
開いた携帯に着ていたのはメールで、しばらくぶりに喋る幼馴染からのメールだった。
件名は……っと。
『SOS』
警察に送りつけてやろうかと本気で考えた。




