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僕の小さな救出作戦  作者: 桜 舞華
未来を知ること
3/16

黒猫の名前

『お前にょ質問に答えてやる』


 な行で全てを台無しにしたドヤ顔の宣言に、俺はどこから質問しようかと考える。


 俺の名前を知っている理由か。

 人間の言葉を話せる理由か。

 な行が弱い理由か。


 最後のは半分以上冗談である。


「黒猫、何故俺の名前を知っている?」


 順番に尋ねることにした。

 だが、聞かれた黒猫は不満げに俺を見てくる。一体何が不満なのか。

 投げたからか?

 いやでも、着地してたし、関係無いか。


「黒にゃこというのは、おれのことか?」


 にゃこってなんだ。にゃんこの進化形か。

 ん、が外れた分、意味が読み取りにくくて退化してる気がするが。


「あぁそうだよ」

「失礼にゃ!おれには、ちゃんとしたにゃまえがある!」


 こいつと話してて思ったが、意外とな行って会話に大量発生してるんだな。

 な行が話せないのは不便そうだった。


「名前があるのか。何て名前なんだ?」


 名前があるのなら、その名前で呼ぶ。今さっきまで名乗らなかったから黒猫と呼んでいるだけで。


「にゃげふっ。あ、えっと…お前にょ好きにゃように呼ぶといい!」


 ……挙動不審だった。

 何か、言いたくない理由でもあるのだろうか。俺は別に自分の名前が嫌いじゃ無い。だから、名前を名乗りたく無い理由がわからない。


「何か名乗りたく無い理由があるのか?」

「い、いや!別ににゃいけどにゃ!」


 語尾ににゃを付けると猫っぽくなるんだな。


「……おれの名前は……にゃご」


 非常に言いにくそうだった。

 いや実際、言いにくいのかもしれない。


「なんて言った?」


 聞き取れなかったということにした。


「だーかーらー!にゃご!」

「にゃご?」


 にゃご……新しい猫語のことか?にゃ語、みたいな?


「違う!ニャゴ!」

「にゃーご?鳴き声か」

「ちがうっ!」

「あぁ、ナゴか」


 そうしてようやく、黒猫改め、ナゴは自分の名前が伝わったことに安堵したようだ。

 ぜぇぜぇと息を吐きつつ大きく頷いている。


 なるほど、言いにくいナゴというな行が含まれた名前だったから名乗りたくなかったんだな。

 と、俺は納得した。

 誰が名付けたかは知らないが、これってナゴへの嫌がらせではなかろうかと察した。

ナゴの名前の由来……というか、黒猫にナゴと付けた理由は、これが六割ほどです。ナゴが名乗りにくいな行が含まれた名前。

名乗らせるのが楽しかったです。

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