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僕の小さな救出作戦  作者: 桜 舞華
未来を知ること
2/16

持ち帰る

『大事な人が死ぬ』



 単純だが明確なその言葉に気を取られ、思わず足を止めてしまう。おいおい。

今時ペテン師でもそんなこと言わないだろ。


「それ、どう言うことだ?」


 半信半疑。けれど信じるの割合が少しばかり多い気がする。

 気付いた時には振り返り、黒猫に近づいて聞いていた。



「にゃふん。単純な人間だにゃあ」



 バカにされてる気しかしない。黒猫はしてやったり、みたいな顔で笑ってる。


 黒猫の首根っこを鷲掴みにして、俺と同じ高さになるよう持ち上げた。

 黒猫の余裕な顔は崩れなかった。


「アキ、場所は移動しようか」


 ふわっとした毛に覆われた猫手が、俺のアパートを指す。若干イラっとしながらも、素直にアパートに向かった。

 喋る猫と人通りの多い場所で喋るのは、嫌でも注目を集めそうだ。


「おい猫」


 お前はなんで俺の名前を知っているんだ、と聞こうとして黒猫に話しかける。丁度、向かい側から来る女の人とすれ違うところだった。


「にゃあ」


 わざとらしく、黒猫が鳴き声を出す。

 人間が、真似る気もないのに猫の鳴き声を真似したみたいな声だった。


「……」


 今更普通の猫を装うとは。睨みつけてやったが、残念なことに俺の目はビームを出さない。

 だが、黒猫は居心地悪そうに身動ぎしたので、少し気分が晴れた。




 ___家に着き、黒猫を腹いせに放り投げてやった。


  ※良い子は真似しないでね。


 と、テレビの下の方に付きそうな注意事項を添えておく。

 誰のためかはわからない。


 黒猫は投げられたことなんてなんでもないように、くるりと身を丸めて一回転し、ピシッと着地を決めた。なんかムカついた。



「さて、お前にょ質問に答えてやる」



 ドヤ顔なんだが、な行が全てを台無しにしている気がしてならなかった。

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