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僕の小さな救出作戦  作者: 桜 舞華
極めて平凡で概ね平和
14/16

遅めの昼食

「何食べようか」


 俺は別になんでもいいんだけど、とエミカに尋ねれば、エミカは少しも悩むことなく返したきた。


「うどん」


 あ、はい。うどんですか。


「何で?」

「つるつるっと食べられるから」

「あ、そう」


 思った以上に単純な理由だった。

 断る理由はないので頷いてうどん屋を目指すことにした。


 昼食の時間は見事に外していることと、それから平日であることが重なってかなり空いているうどん屋。


「ご注文が決まりましたら、そちらのベルでお呼びください」


 テーブルの端に置いてある呼び出すためのベルを指した店員は、一礼してから去って行った。その後を何と無く追いかけながら、メニューを開く。


「何にする?」

「えっと……キツネ」

「了解」


 んじゃ、もう呼ぶか。あっさり決まった注文をするため、呼び出すためのベルを鳴らした。厨房の方でりーんごーんと鳴る音が聞こえた。


「カレーうどんと、きつねうどん一つずつで」

「かしこまりました」


 話すことがもうなくなり、沈黙が場を支配する。


「これ終わったら、バイト先行くぞ」


 次の予定だけ告げておくことにした。

 エミカは、それまでの雰囲気と打って変わってどんよりとした空気を醸し出す。


「やっぱ行かなきゃダメかなぁ。あ、でも!大学行けばいいんだっけ?」


 打開策でも見つけたように明るい顔になって、エミカは言う。


「まぁ、そう言われたんなら」

「じゃあそうする!バイトはやめておく」


 かなりあっさり、エミカはバイトすることを放棄した。諦めはや……。


「大学は付き添いお願いね」


 ちゃっかりとお願いしてくるエミカにため息を吐きながらほいほい、と返事しておいた。この年で付き添いが必要って……。


「お待たせいたしました、カレーうどんときつねうどんになります」


 エミカと俺、それぞれにうどんの小鉢を置くと、店員は下がって行った。

 冷水で喉を潤してから、俺はぱちんっと割り箸を割った。


「おぉ、カップ麺とは違って美味しいね!」

「そりゃそうだろ……カップ麺と一緒にしてやるな」


 カップ麺とは違うだろう。

 ……ちょっと待て!


「お前、カップ麺ばっかり食べてたのか⁉︎」

「え?あー、まぁ、そう、かなぁー?」


 白々しく目を背ける。


「お前なぁ……料理ぐらいできるだろ?」


 確か、エミカ母がしっかり花嫁修業させていたはずだ。それこそ、家の掃除に料理、洗濯にと、さらには護身術まで仕込んでいたような。


「料理できるけどさ、めんどいから」

「いやまぁ、確かにそうだろうけど」

「あぁーもう!うるさいなぁ」


 思春期の子供を持つ父親の気分だが。口うるさかったか?俺。


「うるさいって……別に、うるさくねーし……」


 ほんのり悲しみを感じながら、俺は無言でうどんをすすった。


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