第三章3 北朝鮮③
三度目の実験
それでも金正温は止まらなかった。
「日本を標的にした演習を行う」
軍幹部が固まった。
「実弾を?」
「そうだ」
「しかし……」
「何だ!」
「超越者が……」
「超越者が何だ!」
金正温は怒鳴った。
「我々は主権国家だ!」
その言葉を言った瞬間、
部屋に超越者の声が響いた。
『その通りだ』
全員が凍った。
『あなたたちは主権国家だ』
『だから、あなたたち自身の意思で行動すればいい』
金正温は黙った。
『そして、私も私自身の意思で判断する』
それだけだった。
*----+
そして失態
演習当日。
金正温は指揮所から発射を命令した。
しかし、通信担当者が誤って別の命令系統に発射準備信号を送ってしまった。
「違う!」
金正温が叫ぶ。
「待て!」
しかし軍人たちは混乱した。
「発射準備完了!」
「まだ撃つな!」
「命令は発射では?」
「違う!」
金正温が立ち上がった。
「私が止めろと言っている!」
現場が大混乱する。
結局、ミサイルは発射されなかった。
指揮所に沈黙が戻る。
金正温は椅子に座った。
額には汗。
側近たちは誰も顔を上げない。
そして、
『今のは面白かったと他国は思ってるみたいだ』
超越者だった。
金正温の顔が真っ赤になる。
「……何が面白い!」
『あなたたちは、私を恐れるあまり、自分たちの命令系統まで混乱させた』
誰も反論できなかった。




