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超越者――戦争の終わる日  作者: 4ランクは下の人間
超越者 ― 第一章 超大国編

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第一章6 選ばれなかった国④

中国全土

ニュース速報が流れた。


「超越者、日本国天皇を代行者に指名」


その瞬間、中国全土で再び混乱が起きた。


北京。


上海。


香港。


成都。


ネット上では激しい議論が始まった。


「なぜ日本だ!」


「中国の歴史を無視している!」


「これは日本への肩入れだ!」


「中国は抗議すべきだ!」


一方で、


「超越者は日本人を優遇しないと言っている」


「そもそも超越者に抗議して何ができる?」


「軍事力は通じない」


「核兵器も意味がない」


「ではどうする?」


という冷静な声も出始めた。


しかし、怒りを抑えられない者も多かった。


長い歴史を持つ中国。


巨大な人口。


世界有数の経済力。


世界最大級の軍事力。


それらを持つ中国が、


超越者の「代行者」という一点において、日本に先を越された。


それが何よりも受け入れ難かった。


*----+


中南海

「主席」


一人の幹部が慎重に口を開いた。


「我々は……日本政府に抗議するべきでしょうか」


習は答えなかった。


しばらくして言った。


「日本政府が決めたことではない」


「では、超越者に?」


習は目を閉じた。


そして静かに言った。


「……超越者に抗議して、何を要求する?」


誰も答えなかった。


「天皇に辞退させるのか?」


沈黙。


「超越者に別の人物を選ばせるのか?」


沈黙。


「それを拒否されたら?」


さらに沈黙。


習は椅子に深く座った。


中国が初めて直面した相手は、


アメリカでも、


ロシアでも、


日本でもなかった。


中国より強い国家でもなかった。


国家という概念そのものの外側にいる存在だった。


そのことを、誰もが理解し始めていた。


そして世界中で同じ問いが生まれていた。


もし超越者が本当に存在するのなら。


もし誰にも倒せないのなら。


もしそれでも人類を支配するつもりがないのなら。


人類は、これからどう生きればいいのか。


その答えを、超越者はすぐには教えなかった。


ただ一言だけ告げた。


『考えるのは、あなたたち自身だ』


その言葉を最後に、世界は再び沈黙した。


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