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ルーナ物語  作者: 白栞
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ルーナ物語

第五章 初めての決闘


翌日。空は澄み渡っていた。


一年一組の生徒たちは、学園の決闘場へ集められている。


白い石で造られた円形の舞台。


周囲には何段もの観客席が並び、舞台全体を淡い結界が包んでいた。


「ここが決闘場か……。」


クレアは思わず見上げる。


クロエもその広さに息をのんだ。


ここでは、歴代の英雄たちも腕を磨いてきたという。


やがてレオナルドが舞台の中央へ歩み出る。


一本の杖を掲げ、生徒たちを見渡した。


「今日は決闘術の基礎を学ぶ。」


その一言で、空気が少しだけ引き締まる。


「決闘と聞くと、勝敗を決める戦いを想像する者も多いだろう。」


レオナルドはゆっくりと続けた。


「しかし、この学園で学ぶ決闘術は違う。」


杖を静かに構える。


「目的は相手を倒すことではない。」


「仲間を守り、自分も生き残ること。」


一年生たちは真剣な表情になる。


「魔法は人を傷つけるためにあるのではない。」


「守るためにある。」


その言葉は、校長がクロエへ話した言葉と重なった。


レオナルドは一人の教師を舞台へ呼ぶ。


「まずは見ていなさい。」


二人の教師が向かい合う。


開始の合図。


次の瞬間。


炎が走る。


透明な結界が炎を受け止める。


続けて


激しい魔法が次々と放たれる。


防御。


回避。


受け流し。


生徒たちは驚いていた。


「攻撃しないの?」


クレアが小さく呟く。


レオナルドは答える。


「攻撃は最後でいい。」


「守れない者は、誰も救えない。」


教師たちの演習が終わる。


続いて一年生の番だった。


二人一組。


最初は防御だけ。


クロエはクレアと組む。


「よろしく。」


「うん。」


二人は少し緊張しながら距離を取る。


開始。


クレアが小さな光弾を放つ。


ゆっくり飛ぶ練習用の魔法。


クロエは深呼吸し、杖を構える。


「守って。」


光が集まる。


目の前へ淡い膜が現れた。


小さな結界。


光弾は優しく弾かれ、空中で消える。


「できた!」


クレアが嬉しそうに笑う。


クロエも安心して息をつく。


今度は交代。


クロエが光弾を放つ。


クレアは焦って杖を振る。


しかし結界は間に合わない。


「あっ!」


光弾がクレアへ迫る。


その瞬間。


クロエは反射的に駆け出した。


クレアの前へ飛び込み、自分の結界を展開する。


光弾は結界へ当たり、小さく弾けた。


静まり返る決闘場。


クレアは驚いたままクロエを見る。


「ご、ごめん!」


クロエは首を横に振る。


「怪我がなくてよかった。」


レオナルドは静かに二人へ歩み寄る。


「今のは正しい。」


生徒たちが一斉に教師を見る。


「決闘は勝つためだけの技術ではない。」


「仲間を守るために、自分が前へ出る勇気。」


「その心が最も大切だ。」


クロエは少し照れながら笑う。


自分では特別なことをしたつもりはなかった。


ただ。


目の前の友達を守りたかった。


それだけだった。


授業が終わり、生徒たちは決闘場をあとにする。


クレアが歩きながら笑う。


「助けられちゃった。」


クロエは少し困ったように笑う。


「反対だったらクレアも助けてくれるでしょ。」


「もちろん!」


二人は笑い合う。


その様子を、観客席の一番上から静かに見つめる人影があった。


校長だった。


二人の姿を見つめ、小さく微笑む。


「……光は、少しずつ育っている。」


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