レティシアと威力偵察!(13/20)
今日は久しぶりの正規仕事だ。
え~っとつまりタウン誌のモデルね。割合で行けば、徘徊している時間のほうがはるかに長いけど、仕事ではないでしょう?趣味は。
いつものファッションページのモデルではなくて、なんか夏特集の企画らしくて、私は涼しげな服でキャッキャしたりお澄まししたりしていればいいらしい。この暑い中冬の服を着なくていいのは助かる。変に現場主義の編集長は撮影も現場で行いたがるから。でも見るからに季節が違うのでそこはCG。
「レティシアちゃん、誰かに語ってないで次行くよ」
「は~い」
さっきまではアイスクリームを舐めながら、立ち並ぶ露店を巡ってキャッキャしていた。
次は私の得意とする「清純お嬢様」モードだそうだ。深窓のご令嬢が庶民に混ざってひと夏の冒険をするためにいつもと違うコーデで変装してアバンチュール……。なんだ?魔法の呪文か?ゴメン私回復系は使えないの。
「まあ、悪くない」
鏡に映る自分を客観的に評価してみる。
「何言ってるの!凄く可愛いわよ!」
「いや、自分で言うとちょっとなんかヤな感じしません?確かに凄く可愛いと思っちゃってるんですけど!」
「いいの。でもそんなにニヤけてちゃ、謙遜にならないよ。さ、気に入ってくれたのはわかったから、お顔はクールでお願いね。出るわよ!」
外は暑かった。
けれど顔には出さず。お嬢様はそう教育されているの。でも所詮は小娘……違う、どこの魔族だ。でも少女なんだから完全には作れない、これから始まる冒険への期待でどうしたって表情が緩んじゃう。
歩みは一歩ずつ隙なく。走り出したいんだろうけど、我慢だよ。
スタッフさんや、周りのギャラリーが息をのむのがわかる。私がいるだけで、この暑い路地に涼しい風が通るり、そんな幻覚をみんなが体験するように……。
そんな中でひとつの視線に気づいてしまう。
これ、アカリさんだ。だから我慢なんかできるわけもなく、顔を上げるとレティシアスマイルLV10で彼のほうを見てしまうのだ。
アカリさんと手を振り合った。
実は先に見つけてくれたのは、アカリさんだと知っている。視線の力ってすごい。アカリさんが私の姿に見とれていたのも何となくわかる。
今日の仕事の報酬として「深窓の令嬢のサマードレス」を頂いた。せっかくなんで着たままだ。
そうだ、この後アカリさんを悩殺しに行こう!
私の戦闘力は今、きっとすごいことになっている!
「ここがアカリさんの会社?」
撮影現場の、この向きで、こう手を振ったからきっとここだ。配達用の車もいっぱいあるし、ここで間違いないはずだ。
しかしこんな格好の女がいきなり訪ねても、逢わせてくれないよね。怪しすぎる。どうしようか?冷静になれ。普通なら相手の職場には乗り込まない、そうだ帰ろう。でもこれ着てるところちゃんと見てもらいたいし……。
「君、ウチに用かな?」
ウロウロしてたら関係者に声をかけられてしまった、お終いだ!
「あれ?レティシアちゃんじゃない。アカリさんですね、呼んできますよ」
「エ?何で私の事……それにアカリさんって」
もしや既にアカリファンクラブで指名手配になってるのか、私!ヤバい、絶対異星人とか怪力とか、とにかく恐い人とかいるよ。
それにだけど、もうちゃん付けで呼ばれる歳でもないし。
「二人は付き合ってるんでしょ?」
受付の所で待たせてもらっていると、いきなり聞かれた。
「いや、ホント最近初めて逢ったばっかりで、私が勝手に来たというか」
どうしてそんな話に?というか、アカリさんがフリーなのがわかった。あんなに素敵なのにどうしてとは思うけど。これで私にもチャンスが……って違うよ、私はそんなのじゃなくていい。
「今日はちょっと服を見てもらいたくて来ただけで……」
「ギャー!ちょっとこの子可愛すぎる!」
びっくりした。私はあなた達が怖すぎます!アカリさんには逢いたいけど、逃げなきゃ駄目だ。幸い相手は二人。立ち方から見て素人だ。単純なフェイントでかわせる!的なことはわからないけど、この圧の中動く事が出来たなら脱出できそうな気がする。でも怖くて動けないんだよね……。アカリさん助けて。




