レティシアと不器用じゃなきゃ恋はできない(11/20)
星都サントルで貧しい家庭にありながら美しく育った令嬢レティシアはある日配達員の青年と運命的な出会いを果たします。
それからは偶然か必然かなんか10日連続で逢っちゃったりして、ではなくて、幾度も逢瀬を重ね、レティシアが凍てついた心を開きかけたその時、青年は実は超裕福な家庭のお坊ちゃんだと判明したのです。
レティシアだって負けてはいません。なんと彼女の実家は大きなぶどう畑を持っていて……
「スト~ップ!」
何よ、いいところで。
「出だしから出鱈目よ。貧しい家庭は令嬢なんか生み出さないわ」
「なんかカッコいい単語をたくさん出したいだけだよね」
知りません。今日は私、地の文なので。つまり世界そのもの。
「運命的な出会いって言ってる辺りでもう、どうでもいい感じ?」
「大体、あの「アカリさん」なら相当金持ちなんじゃない?」
「え?」
運命で出会って来いと、教室を追い出された私は、運命とやらに従ってうろつくことにした。
出逢って来いと言われて、出逢えるなら苦労しない。
でも最近何となくわかるんだよね、アカリさんのいるところ。
とその前に、見つけてしまった。噂の「熱血バーガー」の屋台だ!何が凄いかというと、この徘徊者である私をしても今まで見つけることができなかったのだ。ほんとにどこに店が出るかはわからない。記録によれはサンカク山の五合目付近に現れたこともあったそうだ。
「ぐ、グルメを取るか、ロマンスを取るか……」
グルメの勝ち!ま、そうなるよね。
並んでるな。並ぶか。
夕方になってしまった。
アカリ氏は昨日と同じ、駐機場にいる。
あの宇宙船だ。飛び立とうとしている!急げ!
多分危ないからダメなんだろうけど!
宇宙船から出ていた甲高い音が低くなって、音が止まると、ドアからアカリさんが出てきた。
「あれ?レティシアさん?」
「アカリさん!ごめんなさいどうしても渡したい物があって……危ないかなとも思ったけど」
これは怒ってる、仕方ないよね。でも私の逢いたい気持ちも分かってほしいな……。
「本当に危ないよ。宇宙機は地上の乗り物なんかより出力とか二桁大きいからね。むやみに近づいて死亡事故も相変わらずある」
「ごめんなさい……」
「これから気をつけるんだよ。……ゴメンねきつい言い方だったけど、君には怪我をしてほしくないから」
アカリさんは近寄ってきて、私の頭をなでた。
ここは抱きしめてくれてもいいんですよ?
「ありがとう、これから気をつけます。でもアカリさん以外の宇宙船には近づかないよ」
私はカバンから紙袋を出してアカリさんに押しつけた。
「お昼から並んで、やっと手に入れた絶品ホットサンドだよ!時間があったら一緒に食べようと思ってアカリさんの分も買ったんだけど、今から宇宙なんだよね。晩ご飯にどうぞ。じゃあまたね!」




