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レティシアと知る人ぞ知る隠れ家的な(8/20)

 私は今隠れている。


 マリー達と久し振りに飲みに来たのだ。

 今の時代、腕自慢しか店を出さないから、店を構えてるだけで味の保証はされたも同然だけど、ここはどんなメディアにも出ていない、正真正銘の隠れ家だ。ザシキとかいう床に座るタイプの店で、私は割とこのタイプ好きだった。

 ともあれ女四人でやかましくやっていたのだけど、アイちゃんの陰になっているカウンター席に、「彼」がいるのを見つけてしまった!

 アカリさんはお酒飲むのかしら?そのうち一緒に飲みに行ったり。おいしいお店もいっぱい教えてあげなきゃ。おじさまのオムライス屋さんの特製オムは何度食べても絶品だし……この時のために食べ歩いていたのよきっと……って私、出会ってから何か食べ物が関わっている?

「私食いしん坊じゃないよ!」

「何?突然」

「あんたは食いしん坊でしょう」

「もう酔ったの?」

 さんざんな言われようだ。

「ソフィア、席代わって。私隠れるから」

「何してるのよ、ほら気をつけて、テーブルにぶつかるよ」

 ソフィアはなんだかんだで優しいから好きだ。

「ん?あれって、あの時の彼じゃない?」

 ソフィアにアカリさんが見つかってしまった。

「ほらあそこの男の人、レティシアの彼氏だよ。船長さん」

「違うし!」

 自分で言ってダメージを負うが、こればっかりは本当だ。

「ほんとだ、よく見ると船長さんだね」

 この間から、ソフィアがアカリさんのことを「船長さん」と呼んでいるが、フェルディナンド先生のお客としてたまに来ていたらしい。どちらのアカリさんにも何回か会っているらしいマリーだけど、今までいづかなかったみたいだ。

「すると、私たちのほうがレティシアちゃんより先に船長さんに会ってたってことよね?」

 そんな馬鹿な。だったらアンタたちなんであんなステキな人をスルーできるわけ?スルーしてくれないと困りますがね!

「こないだはあんな服装だったからカッコよく見えたけど、やっぱりかわいい系だよね」

「いや、格好いいし!」

 実際はそんな一言では表せない!恰好いいのは確かだし可愛い要素も持っている。私を陥れる時の悪魔の微笑みも実は好きだ。

「レティシアちゃんもそんなお年頃か~」

「さあ飲め飲め、話を聞かせなさい」

 昨日は聞けなかったからね?と言ってやると耳まで赤くなるソフィア。あんたたちこそ付き合っちゃえばいいのに。

「あ、帰るみたいよ」

「え?」

 ウソ、まだお話ししてないよ。

「騒がしすぎたかな?」

「アカリさん……」

「ホントに惚れちゃってんのね~」

「泣きそうなレティシアちゃんもかわいいな~」

 自分でも意外なほど落ち込んでしまった。ああイカン、涙が。

 少しして大将が高そうなニホンシュを四人分持ってきた。

「私たち頼んでないよ」

 特別な常連にしか出さない幻の銘酒らしい。

 さっきまでいたカウンターの男性が私達に飲ませるよう言って帰ったそうだ。アカリさん気付いてたんだ……。大騒ぎの現場を見られてたんだ、恥ずかしいなあ。

「あの人よく来るんですか?」

「この子の彼氏なんですけど」

 えっまだ違う。

「週七で逢っているだけで!」

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