レティシアと料理教室
「私、レティシアちゃん。最近ちょっと疲れちゃってるの。私のことを好きすぎるお友達が一緒に住んでるんだけど。あ、女の子だよ(^_^; (発音不明)?男の子だったらハズカシ過ぎる(#^_^#) (発音不明)~!えっと、その子達がね、家事も料理も半端でさぁ、マジ使えないのよね……。レティシアが辛いときに、いっぱい励ましてもらったから、今度は私が応援してあげるの(#゜Д゜) (発音不明)!せめて一芸は仕込んで、ママ達の所に帰してあげたいなっ!」
まな板まで切断しそうな勢いで包丁が人参に振り下ろされる。誰だそんな危ないことをするのは。私だよ!
「レティシアちゃん……心の声が漏れてますよ?」
「聞かせてんの!あなた達に任せたら、晩ごはんが朝ご飯のピザデリバリーになっちゃうわ!」
「的確な表現ね」
馬鹿にされてるのよ、もっと奮起して!
「今日の料理は簡単なのよ?初等部の子が親に初めて作るごはん、つまり失敗するほうが難しい!或いはMANGAで彼女が彼氏に作って激マズになるごはん、つまりネタにしかならないほど失敗しない!」
私が叫んでる間も、ソフィアは真剣な顔で芋を剥いている。マリーは何故か焦げた鍋を磨いている。まだ火を通す段階じゃないのに。
「もうやだ……」
何でこんな事で泣かなきゃならないの……。
「レティシアこの程度で泣いては駄目。あなたはもっと辛いことを知っているはずよ」
「マリー!」
そうだ、ソフィ。バカな幼なじみをやっつけてしまえ!
「何で二人でそんな変な顔して人の顔のぞき込んでるの。手を止めないで!」
『レティシアちゃん、もういいわ』
「マリママ!」
居候二人がMANGAみたいに揃ってビクンとする。面白い。
「「ナンデ?」」
二人の所業はすでに親たちに報告済み。実態を見てみたいとのご要望で、今日の料理教室となったわけ。映像を流していたのも向こうさんの要望だ。
気軽に始めたし気軽に応じたのだけど、まさかここまで酷くなっていたとは想像していなかったな。事前に練習させておけばよかった。
『マリアンヌ、ソフィア。ずっと見ていましたよ。レティシアちゃんの分かりやすい説明のおかげで、我が家の今日の晩ごはんはルー君ごはんです』
「「「何それ、食べたい!」」」
『こんなところで怒っても、二人には効かないでしょうから、今日は戻ってきなさい。秋物もついでに持って帰ってくるのよ。レティシアちゃんもいらっしゃい、たまにはお休みするのよ?』
「じゃあお邪魔させてもらおうかな……」
『でも今日はごめんなさい、一品でいいから持ってきてほしいの』
「わかりました。ルー君ご飯は?インスタントシチューですか」
画面の向こうでルー君が頷いてブイサインする。可愛い……。
「フフフ……お姉ちゃんはおんなじ材料で違うもの作って持っていくからね!じゃあ後でね」
通信を切断する。……なんで私をにらんでるのさ。
「レティシアひどいよ!」
「教えてくれてたら、もう少し真面目にやったのに」
ひどい理屈だ。
「そんな考えしてるうちは、絶対に上達しませんよ。さあ、準備してさっさと怒られに行きなさい」
ポテトフライをキャロットソースでってどうかな。ルー君食べてくれるかな?




