表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
32/37

レティシアと嵐の日の晩餐

 マリーとイチャイチャしただけがこの日の思い出じゃない。皆と食べたご飯がおいしかった……。

 

 晩餐の食事は、だいたい詰めて焼くか、焼いて煮るか。調子乗っちゃうと作りすぎちゃう類の料理だ。

 この家族は大人の女性が二人と男性が一人。よく食べる担当の若い男性はまだまだ幼い。私が入っても食べる量なんて知れている。だから二品とスープで良いだろう。

 マリーが今朝家に誘いに来てくれたとき、お世話になるから一品くらいは作るよと言ってある。

 彼女の家に大きめのオーブンかあったのはこの間見たので、なかなか普段やらないだろう詰め物料理をする事にした。

 ガワの鶏肉はレプリケーター製だ。

 肉は本物が良いとかいう人がいるが、ハッキリ言って私は違いが分からない。 

 詰めるのは、宇宙パワーたっぷりのムキマメ。あいつ等、全然取りにこないのだ。こうでもしないと減らない。

 ハーブは何でも良いか?ルー君はコリアンダー駄目かな?

 お店で売ってた煮凝りも詰め込んで、皮はパリパリ、中はジューシーに仕上がる予定。

 マリママが焼いた大きなお魚と煮込むためのお野菜を適当に切り刻む。

「レティシアちゃん、包丁使いが上手ね~。お家でお手伝いとか……。……何でもないわ~」

「どうせ私は手伝わないし。下手でゴメンなさいね~!」

 拗ねるなよ、子供か。

 マリーはリビングのルー君を冷やかしにいった。

 育った環境が違うんだから、慣れてるとか慣れてないとか当然あるよ。決してエライとかじゃないよ。

「実家でもお手伝いしてましたよ、というか収穫の時期、子供が手伝えるのって食事作るくらいだったし。質より量って感じでしたけど」

 マリママに凄くニコニコと見つめられてる。

「スープは濃いめにしましょう。レティシアちゃん何か作れる?」

 私のセンスを問うわけか。

「トマトにしましょうか」

「良いわね」

「マリー、私の持ってきた赤ワイン取って。マリママ、ニンニクとなんかパスタあります?」

「レティシア、ワインよ……お料理じょうずなのね」

「慣れてると美味しいは別だから覚悟してて。それにね私、食べたいものは何となく作れるんだけど、有るものでパパッと作るのは苦手なの」

 トマトしか具はないけど、とろりと濃いめのスープパスタだ。

「ルー!テーブル片づけるのとパパ呼んでくるのどっちがいい~!?」

「僕パパ呼んでくる~」

 ルー君は読んでいた本をきちんと棚にしまい、パタパタと廊下を走っていく。

「ルー君は可愛いねぇ」

「でしょ?あげないよ」

「私がマリーの家の子になっちゃおうか」

 可愛い男の子が「お姉ちゃ~んっ」て駆け寄ってくるの。涎が止まらんね。そう言えばマリーと私どっちが年上だろう?

「あっ……その……」

 マリーが、ビックリしてるのか?この顔は。

「どうしたの忘れ物?」

「……なんでもない」


「呼んできたよ~」

 マリパパはお部屋で仕事していたそうだ。こんな日にもご苦労様です。

「おお、なんか豪華だな」

「ほとんどレティシアちゃんが作ってくれたのよ」

「ほう!」

「ヘヘヘ~」

「レティシアお姉ちゃん、すごい!」

「カワイイ!!」

 持ち帰っても……

「あげないよって言ってるよ」


「ではいただきましょう」

 チキンはマリパパが切り分けてくれた。

 よく焼けた皮がバリッと良い音をたてる。ほとんど抵抗もなくナイフが通り、出てくるキラキラした肉汁とハーブの香り。

「特別なゲストに」

「ありがとうパパ……マリパパ」

 しまった、つい。

「はは、レティシアちゃんはサントルでは一人暮らしなんだろ?この街ではパパと思っていてくれよ」

「私はママね」

「じゃ、じゃあ私は……」

「マリー、無理に乗ってこなくても良いよ。キャラを見失っちゃ駄目」

 このところ、マリーは私に甘いのだ。偽物かもしれないと思い始めてる。

 

 チキンは驚くほど柔らかく、スプーンで身の繊維を切ることが出きるほどだ。ムキマメは熱がよく通って、お芋みたいな粘り気のあるデンプン質に変化していた。マッシユポテトに厚めのモッツァレラチーズが乗ったそんな食感で、正直想定外だ。基本塩胡椒だけのシンプルな味付けなのに妙に後引く旨み。

「何だろ、不味くはないが、変なの」

「何が変かって言われたら、別に変でもないような……」

「いや意外と、というか手が止まらない」

「マリちゃん、僕これ好きだな。また作ってよ」

「何で私に……レティシアに言いなさいよ」

「いや、マリーにルー君。これは再現できないと思う。たぶん宇宙パワーのせいだよ、これ」

「宇宙パワー?ああ、このムキマメ、アレか……」

「え?忘れてないよね?私の家に大量に置いてるヤツ」

 このあと美女ボケを絡めようと思っていたのに、それを止めざるを得ない衝撃発言。

「宇宙軍も巻き込んじゃったあの事件の現況を忘れてたの!?」

「……ナンノコトデショウ?」

 めっちゃ視線が泳いでる。

「マリアンヌ……宇宙軍巻き込んだってどう言うこと?」

「あ、ママ違うの。結果としては喜んで貰えてて……」

「ちょっとOHANASHIしましょうか……」

 マリーが焦るのってあんまり見ないなぁ。どこの家もママが怒ると怖いんだね。

「レティシアちゃんも!」

 ナンデ!

「私被害者で解決者だよ!悪くないよ~」 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ