レティシアと磯の王者
プラチナブロンド(と言うらしい)の髪を帽子に押し込み、お魚模様のTシャツとショートパンツ。防水のスニーカーは少し暑い。ポケットがいっぱい付いたライフジャケット。指ぬきのレザーグローブを装着すれば歴戦のつり女子の出来上がり。あ、サングラスも忘れずに。
「アイちゃんどうよ、釣り女子!」
「え~カッコいい!そのシャツどこで売ってたの?可愛いじゃん」
「確かに、変わった子だよね」
「そこが可愛いのよ」
私はアイちゃんとその彼氏、彼氏の友達2人と釣りに来ている。数合わせだ。誘われたとき他にもいた数合わせ候補は、もの凄い睨みを利かせた目でアイちゃんを見て「「断る」」と吐き捨てた。何でアイちゃんはこんなのされて平気なんだろう。きっと彼氏以外はマッシュルームにでも見えているんだろうね。
彼氏の友達二人も、そんなに悪くない奴らのようだ。私に驚いてはいたけど、目的を忘れてナンパしようとかしなかったからね。私のチャームの異能が効いていないだと!?なんてね。気になってチラチラ見てくるのもご愛敬だ。
「私、釣りなんて初めて」
「私何度か来たことあるよ。全然釣れないんだけどね」
アイちゃんは楽しそうに語る。釣果無くとも楽しめる心、素晴らしい。私もかくありたい。だからお前ら、恋人繋ぎでムニュムニュするのはヤメロ。
「あ、アイちゃんは彼ピと一緒だろうから、私はお二人に教えてもらおうかな」
「そうだね俺達も正直、あの二人とずっと一緒は嫌だったんだ」
青シャツの青年が言う。この目、マリー達と同じだ。
「アイちゃんの彼氏さんを見るのも初めてだけど、私の方針は正しかったというわけね」
「お~い!あんまり離れるなよ~!って聞いてないな」
アイちゃんと彼ピはベースを離れ、2人で岩場の方に行ってしまった。海沿いというのは守ってるから。
「釣りに行ったんだよね、2人。」
「穴場的な所があの先にあるんだよ」
「へぇ」
「たぶん」
「oh」
「俺たちも行こうか……あ、変な意味じゃなくて!」
「釣り以外に何かあるのか?」
「是非聞きたいわ」
「イヤ、それはなんと言うか……」
私と赤シャツはあわてる青シャツの姿をニヨニヨ見ている。
「お二人とも今日はその服装、ありがとう」
二人は目立つ赤のシャツと青のシャツを着ている。
「私、本当に覚えるの苦手で」
間違えるのも失礼かと思って、あらかじめお願いしていたのだ、服の色を。
赤男がジャーヴィ。青男がギルバート。うん、古典だわ。よけい覚えづらいな。キャラ付けがわかりやすくて良かった。
「僕らは君をどう呼べばいい?」
「そうね……姫とか。ウソゴメンヤメテ。レティシアで良いよ。よろしく」
「じゃあレティシア、釣りは初めてって言ったよね」
「ええ、でもやる気は十分よ!噂に聞く「磯の王者」をこの手でしとめてやるわ!」
「ああ、確かに。ヤツは可愛い女性が大好きだからな」
ジャーヴィ、真実はお世辞にならないのよ。
「でも本当に来たら、僕ら三人じゃ対処できないね」
五人じゃないものね、すでに。
「でも滅多にかからないし、普通に楽しもう」
「ところでレティシア、君釣り竿持ってきてないよね」
だって、そこまでのめり込む予定もないし。
「レンタルとかあるかなって思ってたのよ」
「まあね、楽しく感じてから自分用を買うのは正解だろうね。今日は僕に当たりが来たら、引かせてあげるよ。網でアシストもしてもらおうかな」
「俺のも手伝ってもらおうかな」
「わかった。ありがと」
お礼にレティシアスマイルLv2をプレゼント。
まあ、あの二人の竿がベースに残ってるんだけどね。ホント何しに来たんだか。
あ、スマイルの効果強すぎたか?
「れ、レティシアその微笑みは誰にでもしちゃ駄目だぞ」
「僕らでも勘違いしそうだった……」
「あ~ゴメンね。せめてものお礼のつもりだったんだけど、難しいのよ、この美貌?」
「イラッとするけど、可愛い!」
「ギル!無心だ!釣り道は無心だ!」
楽しげな人たちだなあ。
気が向けばまた彼らと釣りに来ても良いかも。




