レティシアとファイヤーワークス(前)
花火は好きだ。
星都は夏に大きな花火大会があって大きな池または小振りの湖に浮かべた船からたくさんの打ち上げ花火が上げられる。しかも一番華やかなニホン式の花火なので見応えはものすごい。
街を見下ろす、葡萄畑の斜面からはその花火がよく見えたものだ。私たち家族の特等席だった。
なぜ今思い出したかというと、例の学友達が誘いにきたのだ。徘徊はするけど、イベント事には仕事でもなければ自分からは参加しないからな、私は。
彼女たちの気遣いはありがたいと思う。
「そうだね。行っても良いかもしれない」
「あれ?レティシア乗り気じゃないの?花火嫌いか」
「花火は好きだよ。特に誘ってくれてる大きな池または小振りの湖の花火大会は大好き」
でもなぁ、地面の高さで見るのはどうなんだろう。
「私ずっと上から見てたから、満足できるかな?と思ってね」
「ホントばかだなレティシアは。足と胸とまつげの成長だけにエネルギー使ってんでしょうね」
「脳みそがアルコール漬けになってるだけよ」
ひどいな……そんなに言わなくたって、と言うのがノドまで出たよ。
「屋台がいっぱい出るのに」
「あ、ステキ」
知ってる?変わり身が早いって、自分の考えがない人みたいに思われているけど違うのよ。色んなこだわりを持っているからこそ、無数の選択肢をつかみ取ることができるの。
「つまり私は家族団らんに騙されて、損をしていたのね」
「団らんは必要だと思うよ?」
「あと誰が来るの?」
「アイと彼氏クン。場所取りの数合わせにね」
「1、2……5人?」
「あ、あと先生を誘おうかと……思ってる!」
「へえ……。良いんじゃない?マリーは先生のお気に入りだろうし」
「……そうかな。お気に入り……」
ずいぶんとお淑やかな照れ方じゃないか、私と違って。茶化すのもなんかためらわれる。
「悔しいけどね、ここは筆頭にお任せするよ。それに今年はレティシアがいる!遺跡関係で釣れば、先生は絶対私たちの所に来る!」
どうやら団体の中には序列があるらしい。私は特一位?普通に嫌なんだけど。
「序列に入ってるのは嫌だけど、マリー達の役に立てるなら仕方ない。でも当日は先生の相手はしないよ」
「そこは任せて!下剋上のチャンスだから」
「ああ、うん。君たちには関与しないから、好きにやってて」




