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レティシアとじつはブラコン

 こんなに続けて叔父さんを見るのは珍しい。叔父さんが私の家にやって来て、本当に世間話だけなんだけど、お話をした。何か好きな食べ物は?と聞かれたので「イチゴ」と迷いなく答えた。すぐに持ってこようとか言ってくれたのは嬉しいけど、叔父さん、イチゴは春だよと教えてあげたらとてもステキな笑顔を頂いた。親戚のお姉ちゃんの系列顔なので、美オジ過ぎる!

「じゃあレティシア、春は楽しみにしてると良いよ」

 と帰って行った。


 禁酒の騒動では、私がなんか暴れて大変だったらしい。あんまり思い出せないんだよね。

 今日はこの後はお世話になった二人に昼食をおごることになっていた。どこに行こうかと悩んでたんだけど、お兄ちゃんの言葉をふと思い出したの。

「接待で悩んだら、自分の行きたい店に行け!」

「それって、大人としていい選択なんだろうか?」

「客を楽しませるためには、自分がその出会いを心から楽しんでいることを見せることが肝心だ!って」

 マリー、格言はその裏を読むのが大事なんだよ?

「そりゃそうだけど……」

「自分基準が過ぎるんじゃ……」

「えー。でもお兄ちゃんの言葉って、心にすんなりとけ込むというか」

「レティシア、お兄さんいたんだね」

 そう言えば家族の話はしていなかった。特に特筆するところもないし。でも何度か話題にはなってたよね。

「言ってなかったかな。六つ上なの。すっごいバカなの」

「へえ。レティシアのお兄さんならカッコいいんだろうね」

「……まあね。そりゃね、見た目はね」

 確かにその辺の人とは違ってかなり格好いい。でもな~認めるのもな~。

「おお……これは」

「スーパーデレレティシア。実在したのか……」

「デレてないよぅ」

「妹がこんなじゃ、兄も溺愛する以外ないな……」

 え~溺愛されている自覚はあったけど。お兄ちゃん彼女いるしなぁ。あんまり照れているとまたからかわれるから、

「はい、ここです。二人を連れてきたかったのはここ」

「ここって」

 街の洋食屋さんだ。たぶん二人も一度くらいは来たことあるんじゃないかな。

 中はテーブルが10もない、小さな店だ。いっぱいの観葉植物が置かれていて、テーブルごとが個室のように囲われている。時代を問わず新旧のジャズ音楽が静かに流れている。私の家で流している音楽も、この店で聞いてオーナーに教えて貰ったものが多い。

 そして料理全般とても美味しいけど、中でもオムライスは最高だ。私的には四天王の一角を任せても良いくらい。

「いらっしゃいレティシアちゃん。準備できてるわよ」

「今日は。今日はお願いします」

 私はこの店の常連だ。だからではないが特別なお友達へのおもてなしの相談も聞いてくれたりする。

「さあ、あの奥に座って。今日はスペシャルだよ!」

 二人を奥の座席に押し込む。マナーもなにもないけど、そういう堅苦しい店でもないし、かしこまってほしくもない。二人のために設けた場だよ、と私が示したいだけだから。

「何飲む?まあ決まってるんだけどね。おばさま、エベールさん家の昨日持ってきたやつ、お料理に合わせて出してもらえます?」

「はいはい。それではお嬢様方、お料理をお持ちしますよ」

「お願いしま~す」

 前菜にスープと続きまして、メインはオムライスにしてもらった。

「こんなに美味しかったっけ……」

「……ソフィのお誕生日の日に来たくらいだし、かなり前よね」

 二人の幼なじみ度は思ってたより高いらしい。

「いつまでも同じと思うな。昨日よりも今日、今日よりも明日。おじさまの味は常に前進を続けているのよ!」

「ねえ、おじさまおばさまって何でそんな呼び方?」

「私も小さい頃何度か来てて。来る度におめかししていくでしょ、お嬢様気分な訳よ。お嬢様はおばちゃんなんて呼びかけないから、おばさまって呼んじゃったのが始まりね」

「私も質問。エベールワインって高級……よね?今夜のコース凄く高かったりしない?」

「ワインもコースも叔父さんに出してもらってるから平気よ。ワインも色々あって、今日のは私達がお家で飲んでるのと同じね。批評に耐えるようなものではないけど、私の原点を知ってほしかった、なんてちょっと良い言い方でしょ?」

 昔は水みたいに飲んでたとは言えない。

「デザートよ。おじさまはケーキだけは上達しなくて。お向かいの店のケーキを使っているのよ」

「レティシア、それは秘密にしておいてくれよ」

「イケオジ!」

「良い声……」

 秘密を暴露しちゃうと、いつの間にか店のオーナーが横に立っていた。確かに格好いいオジサマだけど、コイツら……。

「ごめんなさいおじさま。今日も美味しかったです」

「レティシアがお世話になった友達だからね、特別頑張ったよ」

「おじさま、私も美味しかったです!」

「私もっ!」

「ありがとう。またおいで、これからもレティシアをよろしく」

「「はい!」」

 うわぁ、完全におちたよ。っていうかコイツら誰?

 この店がフェルディナンドラブ勢に占拠されないことを祈ろう。


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