翠と橙(みどりとゆず) vol.092 かなり緊張気味の橙。
かなり緊張気味の橙。
けれどもそんな橙を見つめる田島川博陽、にこやかに、
そして隣の美耶子に名刺を渡し、薫郎から名刺を受け取り、
薫郎に会釈をして、橙に向けて、
「あなたは…???」
その一言に千慧の声はなく…。
美耶子も博陽の顔を見てニッコリとして。
橙、
「あっ。すみません。私は~~。」
隣の薫郎を見て…。
そして千慧も目だけを橙に、そして博陽と美耶子に笑みを。
博陽、
「ふふ。どうぞ…。」
右手を橙に差し出して…。
美耶子は、
「ん~~???ふふ…。」
そして左脚を右脚に組む。
「あ…、あの…。私…。株式会社アンジェリーナ、ジェシカの…企画開発部に、所属しています。木葉…橙と、申します。」
そう言いながら、右斜めに座っている博陽と美耶子に、
「初めまして。」
博陽、
「このは…ゆず…さん。」
橙、
「はい。」
チラリと隣の美耶子の顔を見て博陽。
美耶子、一度だけ頷く。
「失礼…だけど…。」
橙、
「あ~~。ごめんなさい。あっ、すみません。まだ弊社に入社して、日が浅く。…まだ一か月…経って…。」
博陽、
「おやおや。」
美耶子、頷きながら、
「ん~~。」
にっこりと。
千慧、
「もしかしたら、田島川社長、この木葉橙、社長もお気に入りになるかと思いまして、同行させました。」
薫郎、橙、その声に一瞬、
「!!!」
「へぇ~~。あっ、来ました~~。ジェシカの皆さん、お腹空いたでしょ。お約束してたのに、40分も待たせて…。お食事しながらで…、よろしいかしら…。」
美耶子、
「どうぞ、どうぞ、気楽になさって。」
千慧、
「ありがとうございます。お言葉に甘えまして、頂きます。」
そして、
「ん~~。美味しそ。」
そしてメニューを食べながら美耶子、
「ふん。…で…???」
「社長の…若い頃に、少し…、似てるかと…。」
千慧。
博陽、その声に、
「おやおや。はははは。そうでしたか…。」
薫郎、目をキョロキョロと…。頭の中で、
「…ゆずが…田島川社長に、似てる…???」
ますます緊張して橙。
博陽、
「おやおや。山根さんからそんな言葉…、ほら~~。木葉さん、緊張しまくりですよ~~。はははは。木葉さん、リラックス、リラックス。」
そんな博陽の声に、唇を真一文字に橙、頷きながら、
「す…、すみません。」
「田島川社長の大学時代、そしてその後…。」
博陽、
「ちょっと…失礼かと…。山根さん。…けれども、個人的に…。はは。興味深い。」
千慧、
「ありがとうございます。」
美耶子、
「私の…大学時代…。ふふ。懐かしい。」
博陽、
「かかかか。あの頃は、まだ…、芽も出てませんでしたから…。私どもも…。」
「けれども、一枚の洋服が、人を変えた。」
千慧。
「この…木葉橙も、大学卒業と同時に、弊社に入社。そして入社して、たちまち、彼女の企画が商品化。」
博陽、
「おやおや。これは、これは、おめでとうございます。」
薫郎、首を縦に振り、
「……。」
その千慧の声に橙、
「!!!!」
「本人には、まだ、伝えておりませんでしたけど…。」
美耶子、
「あ~~ら。おめでとう~木葉さん。」
橙、緊張しながら美耶子に対して一礼。
千慧、バッグから一枚の書類を出して、
「失礼ですけど、こちらが、それです。」
美耶子、その一枚を受け取り、見て、
「!!!!」




