翠と橙(みどりとゆず) vol.088 「やだ。私、何言ってんの…???」
何故かふたりの間に入れない雰囲気のスタッフたち。
万美、
「おやおや。」
尋音、
「ふ~~~ん。」
奈都、
「はて~~???」
翠、
「いつも…ありがとね~~。」
巽、
「あっ。はははは。いえいえ…。」
「…と、言っても、私は…頼んで…ないんだけどね…。」
巽、バッグの中から商品を出して、
「確かに…。逢坂…さんのは…。」
「うん。私は…弁当だから。あ~~。これ、飛香~~。そして…、これは…、麗佳ちゃん。麗佳~~。」
「いいっすね、弁当…。」
「これは…、咲茉~~。」
咲茉、
「あっ、はい。」
「でも…、私、自分では…作らないけど…。」
その声に巽、
「はい…???」
翠、突然、
「えっ…???あっ…???いや…、今…、私…何て言った…???」
巽の顔を見ながら…。
あまりにも自然に口から出た言葉。そして初めて間近に見る巽の顔。
巽、可笑しそうに、
「えっ…???はい…???弁当、自分で、作らないって…。」
「へっ…???私…、そんな事…言ったの…???」
こちらも可笑しそうに。
巽、
「はい。」
頭を傾げて…。
翠、途端に、右手を前に振り、
「やだ。私、何言ってんの…???」
巽、今まで見た事のない逢坂翠という女性の笑顔。
一瞬、高鳴る鼓動。
翠、
「あ~~っと。これは…コバちゃん。」
巽、
「あ…、あの…。」
「…ん…???」]
「コバ…ちゃんって…???」
その声に翠、
「あ~~。ウチのブランドマネージャー。ここのいちば~~ん、偉い人~~。ほら、そこにいる。コバちゃん、これ、コバちゃんの~~。」
テーブルで画像に指を差している呉羽、
「あ~~。はい。そこ、置いといて。サンキュ~~。」
「矢萩呉羽。」
「あ~~、矢萩さん…。」
「ゆずから聞いてない…???」
「え~~。あ…、はい。聞いてます。はは…。」
翠、
「そして…、これは…。音羽…さん…と。音さ~~ん。」
遠くのデスクから保科音羽、
「あいよ~~。ありがと、みど。すぐ行く~~。」
巽、
「ぷふ。」
翠、
「へっ…???どしたの巽君???」
「えっ…???」
いきなり下の名前で呼ばれて巽、ドキン。
「あっ…。いえ…。みなさん。逢坂さんの事…、チーフって、あまり呼ばないんですね。みんな、みど、みどって…。」
その声に翠、目をパチクリさせて…。
「あっ。あ~~。ははは。うん。まぁ…。なんて言うか…。まっ、へへ。そっちの方が、呼ばれ慣れてるって…いうのも…、あるかな…。」
巽、
「ふ~~ん。なんか…。固くなくって…、いいっすね。」
「えっ…???」
「あっ、そうだ。」
巽、働いているスタッフたちを見廻して、
「木葉さん…???」
「そして…これは…。はい…???ユッキ…???…なんで…???…えっ…???木葉…???あ~~。ゆず。」
巽の顔を見て翠。手はそのまま、顔だけ橙のデスクに、
「ゆず、今日は仙台出張。夕べ、遅くに決まったみたい。朝までスタッフも知らなかったから…。」
「へぇ~~。道理で…。」
「うん。だから、頼んでないでしょ。」
「えっ。え~~。」
「営業マネージャーと、営業リーダーに同行。大丈夫、日帰りだから。…はい。お疲れ様。ありがと。じゃね。」
その時、巽、
「あ~~っと、みど。」
翠、
「へっ…???」




