翠と橙(みどりとゆず) vol.086 千慧、そんな橙の顔、そのオデコに、「チュッ。」
通行人が抱き合う女性ふたりを見ながら通り過ぎる。
その誰もが笑顔で見つめながら…。
千慧、自分の胸に顔を埋めている橙、その頭を撫でながら…。
橙、
「あったか~~い。」
千慧、
「ふふ。」
そして今度は千慧が橙を思いっきり抱きしめて、橙の頭の上から、小さな声で、
「行くよ。」
橙、その声に顔を上げて、
「はい。」
千慧、そんな橙の顔、そのオデコに、「チュッ。」
そして少しだけ自分の唇で濡れたオデコを右親指で擦る。
「さっ、ユッキ。」
薫郎、
「はい。」
万美、
「あ~~れ~~。」
礼人、
「どうかしました…???万さん…???」
万美、
自分の次に出社した咲茉に、
「ゆずって…今日…、休み…???」
咲茉、頭を傾げて…、
「さぁ…???…そういえば、いつも、誰より早いゆず…、どこ…???」
「トイレ…???」
数分後、尋音、
「おはよ~~。」
万美、
「ねね、尋、ゆず…知らない…???」
尋音、
「はい…???」
万美、出社して15分経過…。
「いつも私より早く出社しているはずの……。おっかしいなぁ~~。」
「…確かに…。」
そして翠、
「おはよ~~。…と、まだ…奈都は…。来てない…か…。」
万美、
「おはよ、みど。」
翠、
「おはよ。」
「ねね。」
尋音、万美の声を遮るように、
「ゆず…、まだ来てない…。休みかな…???」
翠、
「ゆず…???あ~~。仙台出張~。」
その声に万美、尋音、
「仙台出張―――――――っ!!!」
「ふん。」
頭をコクリと。
咲茉、
「え…???えぇぇぇぇぇ…、ゆず…、仙台出張~~???」
「今頃、新幹線…かな…。7時44分発って、言ってたから…、ユッキ。」
咲茉、
「礼人―――――――っ!!!」
ブースから顔を覗かせ、礼人、
「はい。え…と…、ヤマチとユッキ、今日…、仙台の「フレバー」に営業…に、なってます。」
万美、翠、
「えっ!!!フレバー…???」
万美、
「…ってか、みど、ユッキから…???」
翠、
「いやいやいや。仙台に出張って言うのは…。それに、新しく、開拓するって…。」
そして、
「新しくって、フレバーかぁ~~。」
万美、
「うん。東北にフレバーあり。ってね~~。」
尋音、パソコンでフレバーを検索。
「さすがに凄いよ。ここにジェシカ、仲間入りか~~。」
と、画面を見ながら、
「へっ…???でも…、ここに、ゆず…???…って事は、ヤマチとユッキに…同行って…事…???」
翠、
「うん。ヤマチにコバから、夕べ電話があったらしい、ゆず、同行させてって。」
万美、咲茉、尋音、
「へぇ~~。」
奈都、出社。
「おはよ~~。」
翠、
「あ~~。奈都~~。」
そんな翠に奈都、思わずはにかみながら右手を挙げてひらひらと。
万美、
「おっと。みど、ミーティング。コバ…来た。」
フロントボタンのブラウス。カラーはベージュ。
デコルテがのぞく鎖骨ラインのVネック。フレンチスリーブ。
そしてオレンジのワイドパンツの呉羽、
「おはよ、みんな。ミーティングの前に…。急遽、今日、木葉橙に、仙台に行ってもらった。山根マネージャーと、杉浦リーダーに、同行してもらった。夕方には戻る。」
その声にスタッフたち、ざわざわと。
「みどにも、話してなくて、申し訳…ないんだけど…。」
スタッフの女性、
「えっ…???みどにも…???」
翠、
「……。」
けれども、
「まっ、コバちゃんが出した結果だもん。私はOK。夕べ、ヤマチからもユッキに電話で、OKって言っておいた。…もしかしたら、ゆず、お土産持ってくるかも。…ねっ、コバちゃん。」
呉羽、
「ありがと、みど。じゃ~~。始めるよ~~。」




