翠と橙(みどりとゆず) vol.085 「気持ちいい~~。良い匂い~~。」
薫郎、
「…ん…???…この時間に…???」
壁掛け時計は夜の11時45分。
「と~~。ヤマチ。はい、杉浦です。」
翠、
「…ん…???」
ベッド上でパソコンの画面を見ながら千慧、
「ごめん、ユッキ、遅くに。」
「いえいえ。…何か…???」
「明日、仙台、木葉橙、連れてく。」
その声に薫郎、
「はっ…???」
「彼女には今、電話で伝えた。」
薫郎、
「はい…???へっ…???なんで…???」
途端に翠を見て薫郎。
翠、
「…ん…???」
「多分、傍にみど、いるでしょ。」
「えぇ…。」
「みどにも伝えておいて、さっき、コバから電話あって、ゆず、同行させてくれって。」
薫郎、翠に、
「明日、仙台にゆず…、連れてくって…。」
そして頭を傾げて。
翠、
「はい…???」
「コバから言われたんだって。」
「なんで…???話、聞いてないけど…。」
薫郎、両手を掲げて、
「さぁ…???」
翠、
「まっ、コバがそう言うんなら…、それに、電話…ヤマチでしょ。分っかりました~~。」
薫郎のスマホに向けて。
薫郎、
「…と言う事で…。マネージャー、聞こえました…???」
千慧、
「ふん。聞こえた~~。そういう訳で、明日、よろしく~~。じゃね~~。」
プツリと切れる。
薫郎、翠、
「ふ~~~ん。」
そして翠にLINE、
「おっとっとっと。噂をすれば…。チーフ…、明日、仙台出張って…。」
そして、
「うん。今、分かった。…とにかく、行ってらっしゃい。コバが決めたんだから…行くっきゃない。」
「は~~い。」
そして朝、東京駅。
急ぎ足の橙。もう既に着いている千慧と薫郎。
橙、
「おはようございます。遅くなって申し訳…。」
千慧、橙を見て、
「うん。OK。良いんじゃない。」
にっこり。
橙、千慧を見て、頭の中で、
「…凄っ。カッコいい~~。」
薄いベージュのニットのロングワンピース。前開き。右裾スリット。
しかも、体にしっかりとフィット。デザインベルトで、ウエストマークしている。
目をパチクリさせながら、口を尖らせて千慧を見ている橙。
何かしらフリーズしたように…。
薫郎、
「ゆず、ゆず…???」
薫郎、橙の目の前を右手で、
「サッ。サッ。」
その薫郎を可笑しがる千慧。
けれど、まだフリーズしている橙。
薫郎、仕方なく、橙の頭、右側から右人差し指でツン。
橙の頭がクラリと…。
橙、
「ハッ!!!あ~~。ごめんなさい。ごめんなさい。」
千慧、
「ぷっ。」
薫郎、
「何、見惚れてんだよ。」
橙、
「あっ。あ~~。いや…。はい。あの…。えっと…。ごめん…なさい。」
千慧、
「くくくく。」
薫郎、
「何、謝ってんだよ。」
橙、
「えっ…???いや…。だって…。すぎう…。かっこよくっ…。綺麗で…。山根マネージャ…。」
薫郎、
「へっ…???あ…。あ~~。」
千慧を見て薫郎。
千慧、橙に、
「ありがと、ゆず。素直に…嬉しい。」
薫郎、
「まっ。まぁ…ねぇ…。」
千慧、
「こら、ユッキ。」
と言って、
「まっ、ユッキの場合は…もう…見慣れてるかんね~~。」
薫郎、
「あは…はははは。」
橙、
「マネージャ…。」
千慧、
「うん…???」
はにかみながら橙、
「あ…、あの…。抱きしめて…良いですか…???」
その橙の声に千慧、
「はい…???」
薫郎を見て…。目をキョロキョロさせて…。けれども、
「まっ、いっか…。うん。お出で、ゆず。」
すかさず千慧の体を抱きしめる橙。
「気持ちいい~~。良い匂い~~。」




