翠と橙(みどりとゆず) vol.081 「とにかく人間実のあるオヤジだ。」
敦哉、
「あぁ、その焼き鳥屋の店主だ。むなかたうた。うたは、雅楽。つまりは雅と楽。そしてこの楽が、店の名前に、雅楽。自分の名前の楽は難しい感じの樂。みやびとらくで、「うた」と読む。70になる、常連の客からは。雅樂じぃと呼ばれている。とにかく人間実のあるオヤジだ。今はもう、たまに顔を見に行く程度だが、店が出来た時からは常連客だよ。」
笑いながら…。
「ほら、今、ロンドで発注している仕事を扱っているジェシカ、そこのリーダーの矢萩呉羽、彼女も敦哉同様、その焼き鳥屋の常連なの。今は彼女も、敦哉同様、たま~に、顔を出しているみたいだけど…。」
菫。
敦哉、
「うん。」
「彼女も通っているって知って、私も敦哉に連れて行ってもらった口。」
珂帆、忍、
「へぇ~~。」
珂帆、
「行ってみた~~い。焼き鳥なんて、私だって、いつも食べられる訳じゃないから…。」
忍、
「いやいや。私だってそうよ。」
そして腕組みしながら、
「へぇ~~。うんうん。行ってみたいね~~。」
「そうか。んじゃ、今度、連れて行ってあげよぅ~。」
敦哉、にっこりとして。そして、
「おっと。それでは乾杯しようか。」
巽が人に3人に生ビールの入ったグラスを…。
「はい。お飲み物は…私の奢りにさせてくれる…???」
にっこりと珂帆。
敦哉、
「これは、これは…。いきなり訪ねてきて、ありがたい心遣い。甘えさせていただきます。」
珂帆に丁寧に一礼をして。
菫、忍、
「ごちそうさまです。」
敦哉、
「では…乾杯。」
そしてビールを一口、
「ん~~。…つい最近、あっ、ほら。それこそロンドの仕事の難しい商品の…。殆どの工場から嫌われた商品…。」
忍、
「ん~~。ちょっと…私じゃ、分からないけど…。その辺は…。」
「ある工場のひとりのエンジニアが、とあるパーツを編み出して、大絶賛を浴びた。そのエンジニア、その仕事が入る前に俺が、雅樂じぃの店に連れて行ったら、そいつも雅樂じぃを絶賛。焼き鳥食って、こりゃ旨いって。そいつが編み出したパーツで、その難しい商品が出来て、今や増産にまで漕ぎ着けたと。」
「へぇ~~。そんなことも…あったんだぁ~~。」
「まっ、その雅楽。俺もコバもそうだが、なかなか、ジェシカとは面白い繋がりもある。」
珂帆、忍、
「コバ…???繋がり…???」
菫、
「コバって、矢萩呉羽のニックネームよ。呉羽をもじって、コバって呼んでるのよ。」
忍、
「へぇ~~。そうなんだ~~。」
そしてふと考えて忍、
「あっ。そういえば…ジェシカの山根千慧も、ヤマチ。」
菫、
「はは、うん。ヤマチも、山と千で、ヤマチ。」
忍、
「それに…営業に杉浦薫郎っているでしょう、ユッキ。」
敦哉、
「ほぅ、ほぅ。杉浦薫郎も知っているか~~。すぎうらゆきお。ゆきおをもじって、ユッキ。うん。若い割に、なかなかガッツのある男だ。今やヤマチのお気に入りでも、ある…かな…???」
「ふふ。ユッキ。実はウチの社長も…お気に入り。そして秘書課でも…。」
菫、
「あら~~。」
お風呂に入りながら、右足を上げて、
「ふんふんふ~~ん。」
その瞬間、
「クシュン。」
千慧。
「???…なんで…お風呂に入って、クシャミ…???」
焼き鳥を焼きながら雅樂、
「あ~~っくしょん。あ~っちちちち。」
それに釣られてワイシャツ姿で洗い物を手伝っている薫郎も、
「アックション。」
雅樂、
「けけけけ。ユッキ。お前もか…。」
薫郎、
「誰か…、噂…???」




