翠と橙(みどりとゆず) vol.076 「まるで、モデル並み。」
「えっ…???えっ…???ゆずさんも…そのお店…???」
目を真ん丸にして飛香。
「ふん。チーフたちから話を聞いてすぐ。行きたいって、言ったら、歓迎してくれて。」
橙。
飛香、
「へぇ~~。」
「私…今まで焼き鳥って、まず食べた事ないんだけど、もんの凄い美味しいの。」
そんな橙の声に翠も万美も尋音もにっこりと。
「それに、大将もいい人なんだけど、店員さんが、滅茶苦茶可愛いの。」
「へぇ~~。」
「まるで、モデル並み。」
「かかかか。ゆずからモデル並みなんて言われたら、絃、よ~ろこぶよ~~。」
笑いながら翠。
飛香、
「え~~。そういう人、いるんですか~~。」
テーブルの端をぺペンと叩きながら。
万美、
「おやおや。もしかして…、ここにも雅楽に行きたくなったひとりの若者。」
「はいはい。いつか、しっかりと…連れてってあげますよ。」
尋音。
「ありがとう~~。チーフ~~。」
そう言いながら翠の右腕に泣きつくように飛香。
万美、
「かかかかか。」
「はい。お待たせしました~~。デザートになりま~~す。」
巽がトレイからアイスクリームを…。
「わお。美味しそう~~。それにかっわいいし~~。」
尋音。
巽、
「ありがとうございます。」
「ねね、遊馬君って、このお店、長いの…???」
万美。
その声に巽、
「そ…うですね~~。お店の場所は違いますけど…。大学時代からアルバイトで、ここ、働いてますから…。」
尋音、
「へぇ~~。」
特に意識している訳ではないが、必然的に視線に巽の姿が目に入る翠。
いきなり万美、
「ぶっ。ねね、遊馬君…???」
巽、
「はい…。」
「遊馬君って、料理は…???」
その声に、
「はい…???料理…???」
少し考えたように、
「ま…あ…、こういう仕事…してますから…。はい。好きです。」
その答えに万美、
「いやいや、料理…、食べるのが好きっていうんじゃなくって~~。」
翠と橙の両方を交互に見ながら、
「作る方…。」
その声に、
「あ~~。はは。はい。え~~と…。まっ、一応…。こういう…仕事…。」
尋音、
「してますから…。かかか。」
万美、
「おい。」
巽も一瞬、
「ぷっ。あっ。いや…、失礼。店の厨房にも、立ってます。はい。作らせて頂いております。」
万美、
「わ~~お。」
「…と、言う事は、しっかりと…彼女にも…作って、あげたり、なんか…したりして…。」
尋音、思わず巽の左袖の裾を引っ張る。
「この~~~。」
「ば~~か、尋~~。ゆずから叩かれるよ~。」
尋音、
「あっ。そだ。ごめん。」
巽、一瞬フリーズしたように…。けれどもすぐに、
「失礼します。ごゆっくりと。」
飛香、目を見開いて…、
「……。」
そしてゆっくりと、隣の橙を見て。小さな声で、
「もし…かして…、ゆずさん…、遊馬…さん…???」
その飛香の声に赤くなる橙。
翠、
「飛香!!!!」
飛香、いきなりシュンとして。
「私もおんなじ。ゆずもそう。料理全くだめ。だけど、彼は料理上手。…そういう事~~。ねっ、ゆず。」
橙、翠の声に、また笑顔になって、
「はい。」
尋音、
「ほぃほぃ。融けないうちに食~べよう。」
そしてスプーンで一口。
翠、そして万美に尋音、顔を見合わせて、
「お~~いしっ!!!なにこれっ!!!」




