翠と橙(みどりとゆず) vol.075 「何やら、優しそうな方々…。」
カウンターの中で珂帆、客席から戻ってきた巽に、
「ゆず、楽しそうじゃない。ねぇ~~。」
巽、
「え…???…えぇ~~。」
笑顔で…。
「何やら、優しそうな方々…。」
「はい。会社でも、そんな感じでした。」
「ふふ。ゆずから電話があって、びっくりしたけど…。まさか、会社の人たちと来るなんて。」
「…そう…ですね…。」
「あれなら…安心ね。巽とゆずの事、あの人たち、もう…知ってるんでしょ…???」
巽、その珂帆の声に、
「えっ…???」
「だ~~って、そうでしょ。ここに来ることから既に。」
少し間を置いて巽、けれども頭の後ろを掻いて、
「珂帆さんには…、敵いませんね~~。」
すると珂帆、巽の背中をポンと叩いて、
「…た~~く、何年、この仕事やってると思ってんのよ~~。」
そして、
「ふふ。み~~んな、良い人たちばっかりだ。」
「ありがとうございます。」
5人の席から笑い声が聞こえる。
飛香、
「でも、チーフも万美さんも、尋音さんも…お酒、強いですよね~~。」
翠、
「へっ…???」
万美、
「ぷっ。」
尋音、
「かかかか。そりゃ~~ねぇ~~。もちのろん。雅樂じぃファミリ~~。…ってね~~。」
翠、にっこりと頭を傾げて。
飛香、
「あの…、その…。雅樂じぃファミリーって…???」
「あれ…???ユッキに、何も…聞いてないの…???」
尋音。
そんな尋音に飛香、
「はい。」
「おっとっとっと。」
万美。
「まぁ…。営業じゃ、そんな話は…、あいつもしないだろ。」
翠。
「わぉ。あいつときた。かかか。」
尋音。
飛香、
「え…???えぇぇぇぇ…???」
「もしかして…、ユッキに、これ…いること…???」
飛香に左小指を立てて…。
その瞬間、飛香、
「うそ―――――――――っ!!!」
そして、右手を懸命に振って。
万美、
「う~~わ~~~。」
飛香、
「えっ…???えっ…???」
翠、一気に体をゆったりとさせて、
「そっかぁ~~~。」
「あのね、飛香。」
思わず身を乗り出して万美。
「お~~い。今、ここで、それ、言うか~~。」
翠。
「いいじゃんよ、減るもんじゃなし。」
その声に橙、
「キャッハハハハハ。」
「ゆず~~。」
翠。
縮まったように橙、
「は~~い。」
尋音、
「くくくく。」
万美が翠と薫朗の事を話し出す。
次第に飛香の目が真ん丸く、そして口は両手で塞がれ、
やがて…、体を揺らしながら翠に、
「凄い、凄~~い。」
翠、変顔しながらも、落ち着いて、
「ん~~~。…まぁ…。」
「それに…。会社の上司も公認って。」
そんな飛香に翠、
「うん、まぁ…。私がこの会社、入って既にバレちゃってたから…。」
「え…???えぇぇぇ…???」
驚いてる飛香に翠、
「だ~~って、ユッキ働いているお店の常連客がボスとコバちゃんなんだもん。それに、私だって時間があれぱ、お店…手伝ってたし。私とユッキが同棲しているなんて事、鼻から承知してたふたりだったしね~~。」
飛香、とにかく首を縦に。
「それに…、雅樂じぃ自体、全くのオープン主義。知られて構わないものは、どんどん話すから。」
「まっ、だから私たちも、雅楽ってお店、好きなんだけど…。」
万美。
首を縦に振る尋音。
「すんごい、良いお店。」
橙。




