翠と橙(みどりとゆず) vol.255 「ゆずちゃんと杉浦は、2階に住むことになりやす。」
「ささ。お父さん、帰りましょ。あなたの出番は…もう…ありませんよ。」
夫の肩をポンポンと叩いて紅葉。
蘭、
「ふふ…。」
絃と雅樂を見て、
「ありがと。」
夫婦そろって、椅子から立ち上がり、
「娘を、ゆずを…お願いします。」
紅葉、店主と店員に丁寧にお辞儀をして。
龍興は僅かに頭をコクリと。
雅樂、
「へぃ。お任せください。ゆずちゃんと杉浦は、2階に住むことになりやす。大丈夫でさぁ~~。ふたりとも、仲…いいですから~~。けけけけ。」
龍興、ぼそりと、
「…とにかく…、良い店だ。うん。…それだけは…私も…、保証する。」
「ありがとうごぜぇやす。けけけ。」
蘭、
「ほら、帰るよ。私…、まだ、仕事…残ってるから~~。」
龍興、ドアを開けながら、
「あぁ…。母さん、私も、ホテル…戻るけど…。」
「はいはい。私は…これから、買い物が…ありますから…。」
玄関の外で、雅樂と絃にお辞儀をして。
雅樂、絃、
「ありがとうございました。」
蘭、絃と雅樂に左手を振り、
「じゃね。また…。」
そして両手を合わせて、
「ごめんなさい。」
のジェスチャー。
絃、にっこりと顔を右左に…、
「ふふ…。」
待機している車のドアを開けて龍興、
「蘭、乗っていかないのか…???」
蘭、
「な~~に言ってんの~~。私の行先…知ってんの~~???」
「いや…???」
「これから…名古屋。全く、別方向…。今日は…泊まりになるの。」
龍興、
「これは、これは…。」
その後、蘭、タクシーに乗り込み、運転手に行先を伝えて、スマホを取り出し、文字打ち。
まだ仕事中の橙、
「ん~~???メール~~。わっ、お姉ちゃん。…ん…???…お父さん、ゆずの事…、許したみたい。…って言うか…、雅楽の店主に、ぎゃふんと言われちゃった~~。かかかか。大成功~~。」
それを確認していきなり、
「う~~~っわっほ~~。」
周りのスタッフ、
「どした~~っ、ゆず~~~~???」
橙、いきなり意気消沈、
「あっ、あ~~。すみませ~~ん。」
そして、
「こんにちは~~。」
雅楽のドアを開けて。
絃、
「いらっしゃ…。あ~~はははは。ユウマ~~。」
巽、
「ども。」
そして雅樂を見て、
「大将~~。」
雅樂、
「おぅ。へへへへ。ひとりかぃ。」
「えぇ…。はは、今日は…ルッポラ、休みなんで…。少し…早く…、ここ、来たからったから。」
「おぅ。」
絃、
「こんなに早くから、みどたち来るまで、いられる…???」
巽、
「かかかか。言うね~~、鏑木さ~~ん。」
「いやいやいや。その…、鏑木さんって言うのは…。」
両手を合わせて、
「お願い。」
「ははは。はい。絃ちゃん。」
「うん。ありがと。」
雅樂、
「けけけけ。ゆっくりして行け。」
「はい。ありがとうございます。」
巽。
その後、巽は、ちょくちょく雅楽に通う事になり、
やがて…。
「んじゃ、よろしく頼むわ。」
工事関係者に雅樂。工事の開始である。
万美、尋音、飛香、
「ひぇ~~~。ここ…、繋げるんだ~~。」
隣の家と雅樂の家が面している、廊下で改築する一番適している箇所を見て。
「おぅよ。こっから、隣と行き来できるようになる。」
惇哉、
「ふ~ん。な~~るほど~~。」
「院瀬やん、あんがとよ。良い建設会社、紹介してくれて。」
雅樂、惇哉の右二の腕を突っついて。
惇哉、
「いやいやいや。大学の同期が専務やってるとこだから…。頼んでみた。」
千慧、呉羽、
「へぇ~~。さっすが~~。顔…広~~い、ボス~~。」
雅樂、
「けけけ、まさか、まさかの見積もりで、一発でぇ~~。」
翠、橙、
「は~~い、みんな~~。用意…出来たよ~~。」
宗像家の…着工日である。




