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253/259

翠と橙(みどりとゆず) vol.253 厨房から出てきた絃、「あっ。」

次の日の夕方。まだ準備中の雅楽。


ドアが開いて…。

「こんにちは~~。昨日はどうも~~。」


厨房の中で、

「あ~~。まだ…準備中で~~。」

雅樂。


「すみません。なに…。」

厨房から出てきた絃、

「あっ。」

いきなり雅樂に振り返って、

「雅樂じぃ。」

手招き。


雅樂、

「あぁ~~???」

そして椅子から立ち上がり、玄関の方を…。

「あっ。」


店に入って来たのが、橙の姉と両親。


雅樂、頭を掻いて、

「ゆんべはどうも…。」


絃、

「どうぞ、どうぞ。…まだ…準備中で、何も…。」


そんな女性に蘭、

「ううん…、大丈夫、ありがと。うん。ふふ。それにしても、可愛い店員さん。」

絃を見ながら。

「これなら、お客さん、喜ぶよね~~。」


絃、右手を振りながら、

「とんでもないです~~。」


蘭、

「なに、突っ立ってんのよ、失礼よ、ふたりとも…。」


龍興、

「あ…。あ~~。」


紅葉、

「おとうさん…。」


雅樂、絃を見て、頭を傾げながら…。

けれども、笑顔で、

「ゆうべは…どうも…、ありがとうございました。…でぇ…???」


蘭、

「あらためまして。ゆずの姉の、久留須蘭と申します。週刊シャンディアの編集者をしております。そして父の木葉龍興、そして母の木葉紅葉。」

そして、

「準備中とは知りながら、お邪魔して…。」


雅樂、

「いえいえ。」


「ゆずが…、父に、好きな人が出来た。もしかしたら…、その人と、今後は一緒に生活していくと思う。お父さん、お母さん、ごめんなさい。許してほしい。…な~~んて、メールが来たの。いきなりだったから、ふたりともび~~っくり。」


その話を聞いて、雅樂、

「あっ。あ~~。」


絃、真ん丸い目をして…。けれども、思わず、

「ぷっ。」


話を続ける蘭、

「もしか…したら…、仙台での、彼…かな…???…って、思って…。…確か、杉浦薫郎…君。株式会社アンジェリーナ、ジェシカの営業。そして焼き鳥屋…雅楽に住んでいる。もう一つの顔が…、料理人。」


口を尖らせて、

「凄っ。」

絃。


「都内で、ホテルの経営に…携わっております。」

雅樂に名刺を渡して龍興。


雅樂、

「これは…どうも…。」

名刺を見て、

「ホテル東京ロンドネ、常務取締役・総支配人…、木葉…龍興…。」

その名刺を隣にいる絃に預けて。


そしてその名刺を絃が見て、

「…ホテル東京ロンドネ…。」

見た途端に、小さな声で、

「うそ。ここって、高級ホテル~~。凄っ。」


「…全く…、親の言う事は一切…。好きな事…し放題。」

腕組みをしての龍興。

「今度は、自分勝手に、好きな人、出来た。その人と生活…。とん~~でもない。親を見くびってばっかり。」


その声に蘭、

「お父さん。」


その声に龍興、瞬間、蘭に詫びるように、

「あっ、あ~~。すまん。」


「私は、大賛成してるの、ゆずの事。」

蘭。

「ゆずって、子供の頃から、全く目立たず、それに、おとなしい子として、生きてきた。だから…当然、全部、大学も、親の面倒で…。男の人になんて、全く…興味すら…してもらえなかった。」


雅樂、絃、

「……。」


「そんなゆずが、今…。かかかか。凄い変わりよう~~。仙台でも…、はは。偉かった。…しかも、今じゃ、あの…、東北にフレバーありの、田島川社長にまで、気に入られてるんだから…。」

にっこりと蘭。

「そんなゆずが好きになった人。杉浦薫郎。私は…ふたり…応援するけどな~~。」


龍興、不貞腐れた顔をして、

「ふん。何を…バカな…。」






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