翠と橙(みどりとゆず) vol.245 翠、泣きながら、「雅樂じぃ。」
雅樂の話をじっと聞いている翠と薫郎。
翠、薄っすらと目を潤わせ。あちらこちらを…。
そして雅樂、
「分かったぃ。…んなだったら、悪ぃが、みど。俺ぁ、遊馬ってヤツとのこれからは、反対する。とっとと、そいつと一緒にアパートでも、なんでも借りろぃ。」
翠、
「……雅樂じぃ…。」
零れる涙を拭いながら…。
「ただな。悪ぃ~が、今後、ここに来る事ぁ、許さねえ。店にも、これからは、来るなっ!!!」
その声に翠、泣きながら、
「雅樂じぃ。」
薫郎、
「雅樂じぃ…。」
少し、間を置いて、
「それは…。幾ら…なんでも…。無理だろう~~。…それに…。もし仮に、そんな事んなったら…。」
話す薫郎に雅樂、
「なんだってんだぃ。」
薫郎、
「考えても…みてくれよ。そんな事になったら…。もし…みどが出てって…。それにこれからこの店にこなくなったら…。…と同時に、万や尋、それに飛香もゆずも…、この店、来れなくなるって事だぜ。…って、事は、俺とゆずの事も…認められないって事と…、同じじゃん。」
薫郎の話を聞いて雅樂、
「それの…、何が悪ぃ。逆に、客の入りも…落ち着くわ~~な。」
その瞬間、いきなり翠、口を押えて、その場から立ち上がって、茶の間を出て、階段に…。
薫郎、
「みど…。」
雅樂、また再び新聞を見ながら…、
「……。」
薫郎、やり切れない風に、
「…ったく、もぅ~~。」
そして翠の後を追い掛けるように…。茶の間の戸を閉めて、
「みどっ!!!」
雅樂、
「けっ。どいつもこいつも…。へぇぇぇぇ。」
急須の蓋を開けて、ポットからお湯を。そして湯飲みに入れてグイッと。
「あち。ちぃ~~。」
ベッドに大の字でうつ伏せのままの翠。
薫郎、
「みど…。」
翠、
「う~~~。」
「飯にするか…。」
数秒後、翠、
「ねぇ…。」
「うん…???」
「雅樂じぃ…、本気なのかな…???」
「本気って…???」
「隣の事…。」
「…って言うか…、現に、隣、雄さんたち…。いないんだから…。」
「うん。」
むくっと起きて翠、
「でもさ…。親でもないのに…、そんな…。あの家って、どんだけすんの…???」
「…どんだけって…。そりゃあ~~。前っからの家で…。でも…駅が近くって…。…とは言え…。まだ…新しい…し…。2000万は…下らないって…。思うんだけど…。」
そんな薫郎の話に翠、
「に…2000万…。」
その瞬間、翠、
「とほほほほほほ…。そんな家に…。」
冷蔵庫から野菜を、薫郎、
「まっ、地方じゃ…ないから…、都内…。中古でも…、やっぱり…。」
翠、下唇をベロンと…。
「なんで雅樂じぃ…、そんな家…買うかな~~。」
薫郎、キャベツと人参、そして茄子を持ちながら、
「そりゃ…、みどと、一緒に…暮らしたい…から…。」
翠、
「もぅ~~。これ以上、雅樂じぃに、世話になりっぱなしじゃ…。…って、思って…。…ユッキだって、私がここ、出てったら、ゆずと…。」
そんな翠の声に薫郎、
「ん…。ん~~~。行く行くは…。そう…思って…。」
翠、両手で顔を覆って…。
「遊馬君に…、話してみたら…。」
翠、
「…うん。」
野菜を刻んでいる音を聞きながら翠、スマホを耳に、
「あっ。ユウマ…。」
スマホの向こう、巽、
「ふん。みど。どしたの…???」
翠、
「実はさ…。」
そして、今までの経緯を話し始める。
巽、
「えっ。え~~~~。」
「そういう…訳…なの…。」
「いやいやいや。そういう話に…。」
「うん。なってる。」




