翠と橙(みどりとゆず) vol.232 翠、そのままチャームを目の前で揺らして見て、「可愛い…チャーム。」
ベッドの上で、右に左に体を動かす翠、その動きに翻弄される薫郎。
そしていよいよベッドから抜け出し、薫郎に、
「あっかんべぇ~~。」
と言いながら部屋の中で立ち、次の薫郎の動きを予想する。
「ふふふ。」
薫郎、笑顔で、
「こいつ~~。」
翠、またもや、
「べぇ~~~。」
ベッドの上を大股で歩きながら…、そして部屋中駆け回る翠を追い駆けまわし、ようやく…。
翠、
「ひぇ~~。参った~~。」
後ろから翠を抱き締めるに、翠の右手を掴んで薫郎、
「ふぇ~~。ようやく捕まえた~~。」
翠をしっかりと抱き締めて。
翠、
「きゃっははは。はいはい。参りました~~。」
と、言いながら、体を反転させて、そのまま、ベッドにド~~~~ン。
薫郎、
「がっはははは。うそだろ。…潰れちまうだろ。かかかか。」
ベッドの上で、翠の下敷きになっている薫郎。
翠の膝から大腿、そしてお腹、脇の下をくすぐりながら…。
翠、
「きゃっはははは。くすぐったいってぇの~~。」
と、言いながら、薫郎の上で体をバタバタと。
薫郎、左手を翠のお腹、そして右手を翠の右胸を抑えたまま。
翠、
「いよっ。と。」
無理やり薫郎の体の上から回転させて、薫郎の左側に。
薫郎、
「重てぇ~~。」
翠、
「かかかかか。」
薫郎、
「ひゃ~~。」
翠、そのままチャームを目の前で揺らして見て、
「可愛い…チャーム。」
薫郎、
「うん。阿川さん…。」
「うん…???フレバーの…???」
「うん。」
「仙台で、入院した…、次の…次の日だったかな…。」
翠、薫郎を見て、
「うん。」
「ゆずが…、俺の…目の前で、渚沙さんから…買ってもらった。…って、そのチャームを…。」
翠、
「ふ~~ん。」
「初めての場所で、全く何もわからない。そんな場所で…。しかも、入院の俺。不安いっぱいで、心細いだろうって。…少しでも、気分和らげばって、阿川さん、ゆずには仔馬のチャーム買ってあげたんだ。そしたら、今度はゆずから…。それを…俺に。」
「ユッキが、これ…もらった…。」
「うん。それも…阿川さんが買ってくれたんだって。」
翠、また、
「ふ~~~ん。」
そして、
「あっ。もしかして、さっきの…。」
薫郎、
「うん。忘れ物。ゆずが座っているテーブルの下に、落ちてた。…なんだか、光るものが落ちてると思ったら…。」
翠、
「そっか。だから…。」
数秒、沈黙。
そして翠、いきなり右の薫郎の顔を自分の方に向けて、両手で、薫郎の顔を抑えて、
「ユッキ…。」
薫郎、そんな翠の顔を見て、
「うん…???」
「ゆず…、頼んだよ。」
その声に、少し黙って薫郎。
翠、今度は、
「こ~ら~~。」
そう言いながら、右手の甲で薫郎の胸にトントンと。
薫郎、
「はいはい。分かりました~~。」
そう言いながら翠の顔の方に近づき、翠の顔の上で、2秒ほど。
翠、潤む目。そして小鼻が赤くなり。
「なんだよ。ユッキ。」
そして目尻から涙。けれども目を閉じることなく。
薫郎、
「なんでもねぇよ。」
翠、
「へっ。へへへへ。」
そして…、鼻から出そうな鼻水をこらえるように…。
けれども、自然に鼻の下に左手を。
その左手を外して薫郎。
「けけけけ。」
と、笑いながらの翠の口を包む込むように薫郎は唇を合わせる。
翠、
「ん~~~。」
自然に、薫郎の左手は、翠の右胸を愛撫するように…。
翠、
「あ……。」
深夜、0時03分。スマホにラインの着信音。
「へっ…???誰…今頃…???」
そしてスマホの画面を…、
「へっ…???奈都…。…って~~。みどの…ジェシカ…???…ん~~???」
頭を傾げる絃。




