翠と橙(みどりとゆず) vol.217 「全然、分かんな~~い。くくくく。」
「幾らね~~。コバちゃんとボスに、フレバーの社長と専務に頼れ。な~~んて言われたって。まだまだ、新米社員、そんな事、出来るはずがない。」
翠。
尋音、
「恐れ多い。」
「ん~~~。」
「阿川…さんか~~。」
万美。
「2週間の仙台…。ふふ…、阿川さんもゆずの事、心配で、心配で、絶対に、離さなかったみたい。」
万美、
「かかかか。離したら、社長と専務に怒られるってね~~。」
そして、
「あっ。そうだ。阿川さんってさ~~。仙台でのゆずからのメールでも画像送られてきて、顔、知ってるけど…。凄い綺麗な人。」
翠、尋音、
「うんうん。」
万美、
「…でで、ほら、みども…ロンドの草島さん。何てったっけ、下の名前…???」
翠、
「ふん。流歌さん。ながれるうたと書いて、流歌さん。」
万美、
「うんうんうん。…で、どんな人なの…。写真って…???」
そんな万美に翠、
「あ~~~。ざ~~んねながら…、そこまでは…、まだ…、ないや。…だって、私も流歌さんと会ったの、あの時、初めてだったから…。」
そこまで話して翠、いきなり可笑しくなって、
「くくくく。…けど、凄いよ、ロンドの企画開発室長…。」
万美、
「確か…、寺崎さん…???」
翠、頭をコクリとしながら、
「室長…、なんと、流歌さんのオジサン。」
万美、いきなり口に両手を、
「え―――――――っ!!!」
尋音も、目を真ん丸くして、唇をすぼませて、
「……。」
翠、
「いやいやいやいや。あのふたりのコンビネーションは凄いわ。思わず笑わせてもらって、思わずしっくりと…。うん。…で、その流歌さん、仕事は出来て、統率力もあって、社長にも可愛がられているという。」
万美、
「来週、こっち来るって…???ねねね、一緒にご飯、ご飯~~。」
万美から左腕を振られて翠、
「はいはい。はいはい。分かりました~~。」
「…って言っても、結局は…???」
尋音、両目を右左キョロキョロと。そして、舌も右左、ぺろぺろと…、
「雅樂…じぃ…。」
翠、思わず、変顔で…、
「かかか。な~~るかもね~~。」
コーヒーカップを持って、一口啜り、
「ん~~。美味し。」
万美、
「ちょっと…ぬるく、なったかも…。」
そんな万美に翠、また変顔で、
「かかか…、まっ…、確かにね…。」
そして、
「そんな…訳で…。とにかく。私よりも…まずは…ゆずだ。ゆずは…、絶対に、守る。かかか。私たちの…可愛い妹でしょ。」
万美、
「だ~~ね。」
一旦、胸は…張るが…、それも束の間、万美、いきなり体を緩めて、
「でもな~~。今までのみどとユッキ。私ゃね。あんたたちふたりが…、とにかく…、言い刺激…だったんだわ。…それが…。」
般若の顔にぐしゃりとさせながら、
「それなのに…。」
翠、その声を聞いて、
「かかかか。税だ~~。ねぇ~~。飛んでシンガポ~~ル~~。」
口ずさみながら…。
尋音、
「何…それ…???」
万美、
「知らない…。へっ…???みど…???」
翠、
「あっ。これも知らないか~~。飛んでイスタンブールをもじったの、飛んでシンガポール。」
「何々、その、飛んでイスタンブールって…???」
顔を見合わせての万美と尋音。
そんな尋音と万美に翠、
「いい、いい。分かんなくっていい。雅樂じぃの仕事、手伝ってると、意外と昔の歌、ラジオから…。だから、自然に昔の歌、覚えちゃう。かかかか。」
万美、尋音、
「ふ~~~ん。」
そしてふたり…共に顔を見合わせて、くしゃりとした顔で、首を縦に、そして横に、
「全然、分かんな~~い。くくくく。」
翠、
「そこで、仲間外れ、すんな~~。」




