翠と橙(みどりとゆず) vol.216 翠が自分のスマホを。そしてラインの画面を…。
そんな翠たちの席に近寄って、
「はい。どうぞ。」
万美、
「えっ…???」
翠、
「店長~~。」
尋音、ストローでグラスの中のジュースを飲みながら、ペコリと。
珂帆、
「ふふ。」
万美、後ろを向きながら、
「店長…、どうも~~。」
珂帆、
「気持ちの良い、土曜日ねぇ~~。」
翠、
「えぇ…。気持ち良いです。そして、素敵な景色。」
「ありがと。また、雅楽、寄せてもらうわ。物凄い、気に入っちゃった。」
万美と尋音、にっこりと。
翠、
「ありがとうございます。」
「ごめんね。遊馬君…まだ、お店…出られなくって。」
翠と万美、
「いえいえ。」
「今日は…、ゆずちゃんと、あと…、もうひとり…???」
そんな珂帆に翠、
「あは…はははは。はは。今日は、えぇ…、このメンバーで…。」
珂帆、
「ふん。そう…。」
にっこりと、そして、
「お茶のお供。私からの差し入れ。召し上がれ~~。」
小さな声で。
翠、
「すみませ~~ん。頂きま~~す。」
尋音、
「美味しそうなクッキー。私…、頂いちゃおぅ~~っと。」
そしてひとつ、口に。
「ん~~。お~いし。」
珂帆、
「ふふ。じゃ…、ごゆっくり。」
珂帆がテーブルを離れて数秒後。翠が自分のスマホを。そしてラインの画面を…。
その画面を見て万美と尋音、
「わっ!!!あっちゃ~~。」
「私が…家を出るときに来た、ユウマからのライン。」
万美、
「ゆずと、サヨナラ…した。」
尋音、
「やっちゃったんだ~~。…しかも…、みども、みどで…。分かった。…って…。」
翠、
「だから…。歩きながらユウマに電話して…。」
万美、
「うん。」
「ゆず、泣いて、泣いて、どうしようも…なかったって…。」
尋音、
「当~~然。…でも…、ユッキ…。」
そんな尋音の声に翠、
「うん。それもユウマに話した。ユッキも…ゆずを好きみたいだって…。」
そして、
「でも…、そのこと…ユウマ、ゆずに話したかは…、分かんないけど…。」
万美、
「…話してるでしょうよ~。じゃないと、ゆず、可哀想過ぎ~~。あんなに良い子だよ~~。あの子…、もしかして…、あと、数年もすれば、私たち、追い越されちゃうかも…。」
その万美の話に翠、
「そうそう。そうそう。それそれ。私もそれ、ユッキに言った。」
そして、
「かかかか。しかも…それ、ユッキも言ってた。」
尋音、
「へっ…???」
「こいつ。もしかしたら…、もっと、もっとおっきくなるかも…って。」
「わお。」
「ゆずが…最初に仙台に行ったとき。」
万美、尋音、
「うんうん。」
「あまりの緊張で、仙台駅で立てなくなったんだって。」
万美と尋音、同時に、
「はい…???」
「…で、歩けないゆずを、新幹線まで、ユッキが負ぶったとか。」
またふたりで、
「へぇ~~~。」
翠、
「なんだか…、それが切っ掛けだったみたい。」
両腕をテーブルに伸ばして万美、
「……。」
「そして…。」
翠、
「2回目の仙台で…、ユッキが、あんな風になった。」
外の景色を見ながら翠、
「ふふ。私と同じだわ。でも…、ゆずは…環境が違う。2週間の仙台。ずっと、病室のユッキに付きっ切り。」
そして小さな声で、
「大変だったと思う。初めての事で、初めて、大変なことになって。…周りに助けてくれる人…いない。しかも…知っている…人も…いない。」
万美、尋音、
「みど…。」




