翠と橙(みどりとゆず) vol.213 万美、「やだよ、私…、みどとユッキ、別れるの~~。」
万美の、その声を聞いて翠、
「う…ん…。どうなっちゃうのよ~~って…、言われても…。私も…、それ言われると…、困るんだけ…ど~~。」
万美、
「やだよ、私…、みどとユッキ、別れるの~~。」
少し、涙目になる万美。そして、だんだん、鼻水を啜る音。
「みど~~~。もぅ~~。」
翠、
「ん~~~。」
万美、涙声になって…。
「確かに…。」
唇を尖らせて、
「確かに、ユウマ…みどの初恋…なんだけど~~。」
翠、低い声で、
「…うん。」
「私は、ユッキとみどが、別れるなんて、絶対や!!!!」
そしていきなり通話が切れる。
翠、
「へっ…???おぃ、おぃおぃ、万~~~。」
自分の方から通話を切って、そのままベッドにバンの万美、
「わ―――――――――っ!!!!」
翠、
「切れちゃったよ。…ったく~~。」
その瞬間、
「あっ…。」
スマホの画面の…今度は、尋音の履歴…。
右目を瞑って、そして、左手で、左半分の顔を覆って、
「ち…、ちと…、マジィか…???」
一旦は…躊躇するが…、
「でもな~~。」
そして、
「あ~~~ん、もう。」
指を当てて、いきなり、
「ツー、ツー。」
一瞬、気が緩む翠。
「お話…中…。ふぅ…。」
そして立ち上がり、思いっきり、体を伸ばし、窓の前で、深呼吸。
いきなり着信。
「わぁ!!!びっくり…。」
そして、画面を見て、
「とほほほほ…、やっぱ…、来たよ。はい、私~~。」
スマホの向こう、尋音、
「あい、私~~。」
翠、
「あの…さっ。」
ドアのチャイムの音。
そしてドアをノックする音、
「ゆず、ゆず…???」
まだパジャマ姿の橙。カフェオレを飲みながら、
「あっ。巽…。」
ドアを開けて橙、巽の顔に、
「おはよ。」
巽、
「おはよ。ご飯は…???」
橙、
「ううん…。今…カフェオレ…、飲んでた。」
「おぅ。」
そしてトレイの上のメニューを。
橙、
「うん。おいしそ。」
巽、
「食べよ。」
「うん。」
巽の作ったメニューを食べながら橙、
「おいし。」
巽、
「うん。」
そのまま、黙り込むふたり。
すっかり食べ終わって橙。
「ごちそうさま…。でした。」
そして、ベッドに凭れるように、体育座りになって。
「巽~~。」
巽、
「ん~~???」
「チーフの事…、頼むね。」
その声に巽、
「えっ…???」
「逢坂…翠。すんごい、良い人。」
「……。」
「でもさ…。」
「…ん…???」
「チーフには…、杉浦…薫郎と言う…現在…同棲中の…男性がいる。」
巽、橙の顔を見て、
「……。」
橙、
「へへ…。私なんて、チーフになんて…、全く…敵わないよ。全然。」
体育座りの脚に両腕を回して、その両腕の中に顔を埋めるように、
「チーフとユッキが…。これから、どうなるのか…、分かんない…。けど…。」
すぐさま巽、
「ユッキ…???」
橙、
「うん。杉浦薫郎、通称、ユッキ。会社の人はみんな、そう言ってる。」
「そ…っか…。」
顔を埋めながら橙、
「私…。」
「…ん…???」
「私…、巽に…負んぶに抱っこだったよね…。」
震える声で…。
いきなり巽、
「えっ…???」
「ごめんね、巽~~。私…巽に…、なん~~にも…できなくって…。」
巽、
「ゆず~~。」
橙、静かに続ける。
「だから…。はぁ…、だから…。巽に、好きって言ってもらえなかったもん。…はぁ~~。私は、いっつも、巽の事は…好きって…。だから…。」
巽、いきなり橙の傍に寄り、橙を抱きしめる。




