翠と橙(みどりとゆず) vol.211 「…んじゃ~~。みどを…裏の玄関に…???」
「…んじゃ~~。みどを…裏の玄関に…???」
薫郎。
翠、コクリと。
「うん。遊馬君。…私、あの時、洋食屋さんで…。って…言うか、ふたりで生…飲んで…。そして、遊馬君に私の事、言われて、ショックでお店出たんだよ。そして疲れて…、ベンチで休んで…。そんなときに、遊馬君、私を見つけて…。それから…なんでか、私…。くく…。おっかしぃよね。その場で、寝ちゃったみたい…。」
薫郎、
「はい…???そんな状況で…???」
クスクスと笑いながら翠…、
「うん…。…だから、どうやって家に帰ってきたか、全く記憶…ないの…。かかかか。」
薫郎、息を吸い込んで、そして、
「ふぅ~~。」
「…で、ロンドに出張。…そんな時に、今度は新幹線でパッタリ。遊馬君と…。」
薫郎、
「うん。」
「そして、その帰りに、遊馬君、あぁなった。」
「脳梗塞…。」
「もぅ…、自分で、どうすればいいのか…全然、分かんなかった。気が付いたら、病院にいた。…そんな感じ…。」
「みど…。」
「自分とさ…。今まで一緒にいた人が…いきなり、傍で倒れて…。しかも…、その人が脳梗塞って…。物凄い、自分を憎んだ。」
その言葉に薫郎、
「えっ…???」
「だってさ。だってさ。何か、やってあげられたんじゃないかって…。思うじゃん。一緒にいた人に。」
薫郎、
「みど…。」
少し目を潤ませての翠。
「物凄い、恐かった。ずっと…、体…震えてた。遊馬君に、巽君。ユウマに…、ごめんなさい。ごめんなさいって。頭の中で、何度も…何度も。…なんで何にもできなかったんだろうって…。」
薫郎、再び、
「みど!!!」
「だから…、遊馬君の事…、心配で、心配で。大丈夫って、思ってても…、心配で…。」
溢れた涙が一滴。
翠、一度だけ、グスリと。
そして左手で、頬を拭いで。そして、唇を絞って、そして膨らませて、
「ふぅ~~。」
傍らにあったティッシュボックスを引っ張って、ティッシュを2枚。
鼻をかんで…。
「それから…かな…。」
薫郎に顔だけ向けて、今度は目を赤くして、
「遊馬君、私を見るたびにニコニコと。笑ってくれる…。」
薫郎、
「えっ…???」
「ゆずと一緒になるときもあるんだけど…。ゆずより、私を見る事が多くなった。」
「みど…。」
「…だから…、ゆずが…、ユッキの事…、好きになったって…。多分…。」
薫郎、
「そっか~~。そんな風に…、なってたんだ…。」
薫郎、その場を立ち上がって、そしてベッドに腰掛けて。
「みど、ごめんな、お前の方から、話させて…。」
そんな声に翠、
「へっ…???」
「や~~っぱり…、俺は…てんで分かってないね~~。かかか。男ってヤツぁ~~。全然分かんなくって。」
翠、
「ユッキ…。」
薫郎、
「…ん~~。…って言うか…。俺も…、なんか…???…うん。万たちや、飛香…、そして他の…奈都や、咲茉、璋子たちと、違う雰囲気は…、ゆずに…あったような…。ふん。」
左膝に右脚を乗せて、
「決定的だったのが…、最初の仙台。」
翠、
「仙台…???」
「これって…誰にも話してないんだけど…。もちろん、ボスは別。」
翠、
「うん。」
「仙台の帰り、駅でいきなりゆずが倒れたんだ。」
「えっ…???」
「あまりの緊張…。」
翠、
「あ~~~。」
「ゆず…、あいつ…歩けなくなってさ…。」
「うそ。」




