翠と橙(みどりとゆず) vol.210 「みどが高校の時の…、心を救われた人って…???」
「遊馬君…。巽君ね…。」
薫郎を跨いでいた体を傾けて、薫郎から離れて…。
薫郎、
「うん。」
「彼…。私が高校の時、病院に入院してた時の…。」
そこまで話されて薫郎、
「まさか…。みどが高校の時の…、心を救われた人って…???」
翠、そんな薫郎に、
「うん。遊馬君。」
パジャマを脱いで、グレーのレギンスを穿いて、ブラの上にキャミソール。
そしてその上にコットンカーディガンを羽織って、絨毯の上に、
「うぃしょ。」
ペタンと座って、
「遊馬君。あそぶうまと書いて、遊馬。読みようによっては…ユウマ…とも言う。」
そして翠、
「かかかか。高校時代には…みんなから、ユウマって…呼ばれてたんだって。」
薫郎、
「……。」
「それ…、遊馬君に直接聞いて、ユウマだって、知ったのが、万…。万が…一番早く、私の初恋の人が、遊馬巽君だって、確信したみたい。」
「みど…。」
「私ね…。全然、分かんなかった。」
下を向いて、自分の爪を弄りながら翠。
「なんか…、引っかかっている…みたいな感じは…あったけど…。でも…全然…。とにかく、ロンドの事で精いっぱいだったから…。こんにゃろ、なんで、こんな面倒なヤツ…。」
薫郎、少し笑いながら、
「JC365…か…???」
翠、
「うん。…だってさ。いくら考えても、出来る訳…ないじゃん。」
一拍置いて、
「でも…、姫宮の曜子さん。出来るって…。」
薫郎、
「刈谷さん…???」
「うん…。」
そして翠、
「私たちの中で…、ゆずの登場で、何かしら…ルッポラの話題が…。」
「……。」
「しかも…そのルッポラのデリバリーが…。初めて…見る人で…。」
「遊馬…くん。」
「うん。最初は全然分かんなかった。…けど…その内…。」
薫郎、立ち上がって、冷蔵庫からウーロン茶を、グラスに注いで…、
翠に。
「ふん。」
翠、そのグラスを受け取って、
「ほら。榛名さんの代わりに、ファッションショー、行ったじゃない、私…。関口恵の…。」
薫郎、
「あ~~、あ~~。」
キャビネットの上から自分もグラスを取って、そのままウーロン茶をグラスに…。
「あの時、会場に、遊馬君…いたの。」
その話に薫郎、
「へぇ~~。」
「店長が、チケット持ってたんだって。けど…店長が行けなくなって、その時、丁度、時間開いていた遊馬君が…。」
ひと呼吸置いて、
「…で、その帰りに、会場の近くの洋食屋さんに…。」
「……。」
「そこで、ゆずの話から、私の話になって…。…その時に、もう…遊馬君、私の高校の時の…、病院に入院してた事…知ってた。」
翠の顔をじっと見つめる薫郎。
翠、途端に、
「はぁ…。」
体を左右に揺らしながら、
「まさかね~~。遊馬君、しっかりと…知ってた。覚えてた。私の事…。」
ウーロン茶を一口。
「…でも…、ショックだった~~。」
髪の中に指を入れて、掻くように、
「なんで…今更って…。」
薫郎、
「みど…。」
「…だって。…だってさ。今の私…。」
首を左に、
「私には…杉浦薫郎って、人が…。いるんだよ。一緒に生活している人が、現に、いるんだよ。」
黙って翠の話を聞いている薫郎。
「しかも…、その当人、遊馬君には…列記として、木葉橙って女性もいるんだよ。」
数秒黙って…翠。
「あの時からだよ。」
「みど…。」
ポツリと…、薫郎。




