↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
205/259

翠と橙(みどりとゆず) vol.206 瞼が疲れたように、そして…体の力が抜けるように…。

タクシーに乗りながら橙、

「美味しかった~~。」


巽、

「あぁ~~。しっかし、あの…杉浦君。料理…上手い~~。もしかして…、俺より…。」


橙、気持ち良さそうに、ゆったりとしながら、

「ふ~~~ん…。」


「うん。俺より…、料理…上手いかも…。」


瞼が疲れたように、そして…体の力が抜けるように…、

「だれ…が…???ユッキ…???」

ニッコリとしながらの橙、目を閉じたまま…。


巽、いきなり橙の口から洩れた言葉、

「ユッキ…???」

その瞬間に、橙の頭が巽の右肩に…。


巽、

「ゆず…、今…なんて…???」


静かな寝息で眠ってしまった橙。


「おっとっと。寝ちまったか…。」

そして、

「まっ、確かに、飲んでたもんな~~。」

橙の右肩を優しく抱きながら…。


巽、以前の事を思い出して、

「ぷっ。しっかし…、これって…、デジャブ…???あんとき、みども…そうだったよな~~。タクシー、乗っても起きなかった。店の裏口の玄関でも…起きなかったもんな~~。」

そして、

「それにしても、あれから…10年。また…みどが、近くにいる。はははは。」



その数秒後、

「…ん…???運転手さん…???」


タクシーの運転手、

「お客さ~ん。ちょっと、時間…掛かるみたい…。工事中でさぁ。」


巽、

「あぁ…。はい。」


巽の右脇に抱かれながらの橙、何故か涙を溢して…。




アパートの前で止まるタクシー。


巽、

「かかかか。完璧に熟睡か…。さて。」


タクシーの運転手、

「お客さん…大丈夫ですか…???なんだか…足取り…???」


巽、

「あ~~。いや…。はい。なんとか…。はははは。」


そう言いながらも、部屋まで一緒に橙を送り届ける運転手。


巽、

「ありがとうございます。」


運転手、

「あいよ。毎度~~。」


巽、橙の部屋の暗証番号を押して、ようやく橙をベッドに。

「飲み…過ぎ…たか…ゆず~~。」

ベッドの上で静かに眠っている橙。

「…けど…。ありがとうな。毎日、毎日、見舞い来てくれて。ゆずと、みど、そして店長の見舞い…なかったら、こんな風になっちゃいなかった。」


巽を背に眠っている橙。


そんな橙の閉じているはずの…まつ毛を濡らして…涙。


「ゆっくり…、おやすみ…。」

そして、

「さて…、帰るか…。」

立ち上がり、ドアに向かって一歩、二歩。


「うっ。うっ…。うう…。」


巽、

「へっ…???」

目をパチクリさせて、

「えっ…???」

後ろを振り返り、

「ゆず…???ゆず…???」


体を震わせて泣いている橙。


すぐにベッドに戻って、橙の肩をさすって巽、

「ゆずっ。」

そして自分の顔を向かせて巽、

「ゆず。」


口を真一文字に閉じて泣いている橙。


「ゆず…。まさか…おま…。今の俺の話…???」


橙、ただ、ただ、体を震わせて泣くばかり。


そしてようやく、

「巽…、チーフの事…。」

しっかりと巽に向き直って。

「う…。う…。巽…。うっ。うっ。やっぱり…。巽…。」


巽、

「ゆず…。」


「みどって…、みどって…言ったよね…。巽…。」

泣きながら、掠れた声で、橙。


そして、いきなり、

「あ…、あ~~~~~。」

泣き声と共に、巽に抱き付く橙。

「あ~~っは、は、は、は~~。」

巽に抱き付きながら、巽の背中を叩く橙。


自分に抱き付いて泣く橙。

ただ、巽はそんな橙の体を支えるだけで…。

「ゆず…。ゆず…。」

そして、ようやく、一言、

「…ごめんな…。」


その声が橙に聞こえたのか…、また再び橙の鳴き声、

「あ~~っは、は、は、は~~~~。」


そして、遂に、橙をしっかりと、抱きしめる巽。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。