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翠と橙(みどりとゆず) vol.198 「ユッキを、私から奪うんなら、どうぞ、奪ってみな。」

ドアの近くまで来て翠、橙に、

「ゆず~~。あなたがユッキの事、好きだって言うのは分かってる。」

そしてちょっと意地悪くにんまりとしながら翠、

「万の言うとおりに、ユッキを、私から奪うんなら、どうぞ、奪ってみな。かかか。お手並み拝見。…けど、ユッキがあんた、ゆずを好きだと言うんなら、話は別だけど…。」


そんな話を聞いて橙、

「チ…、チーフ…。」


「とにかく、あんたの思い、ユッキに伝えてみな。…けどさ~。これと遊馬君の事は全然、別問題だよ。」

「……。」


「あんたが今まで遊馬君に何をしてきた…???」


その声に橙、まだ黙って、

「……。」


「あん~~なに、一生懸命、見てきたんだよ。遊馬君の事、心配で、心配で…。」

翠、腕組みをして、

「師長の奥村さんも言ってた。遊馬君の事、あんなに見舞いに来てくれている人、店長、そしてゆず、あんた。それから私だって。私なんて、遊馬君が倒れた、その場にいた人間だから…。それだけ、遊馬君の事、心配で、心配で…。…だからなんだけど…。」


橙、小さな声で、

「チーフ。」


「あんた、ゆず、あんたは私以上に、遊馬君の事…見てきたんじゃない。」


ドアを開けて入ってきた礼人。

「…ん…???どしたの…???」


翠、そんな礼人に、

「かかかか。フレバーの事に決まってんじゃん。」


礼人、

「かかかか。ゆず~~。なんか…ミスッた~~。頑張れ、頑張れ。」

右手を振って歩き出す礼人。


「…そんなあんたが、今、ようやく自分の場所に戻ってきた遊馬君。…逆に祝ってあげて。当然だと思う~~。」

「チーフ…。」


「いい…???遊馬君の事、帰ったら、祝ってあげな。それでなくても、あんたの部屋の隣の部屋じゃない。」

少し下を向いている橙に、

「分かった???」


橙、まだ、気持ちの整理が出来ないのか…、それでも、深呼吸して、ようやく、

「うん。…分かった。」


「よろしい。」

そして、橙の左肩をポンと、

「ほぃ。仕事、仕事~~。」


自分の席に向かう橙に音羽、

「ゆず~~、フレバーの阿川さんって方から外線~~。3番。」


橙、

「あ~~はい。分かりました~~。」

そして電話スタンドの受話器を左手で持って、

「お電話代わりました、お世話様です。ジェシカ、木葉です~~。」


自分の席に就く翠に、後ろむきのままに椅子をスライドさせて万美、

「さ~~て…。」

後ろ向きで電話をしている橙をみながら。


翠、

「言う事は、言った。」


万美、

「おぅ。」





仕事が終わり、ドアに向かう橙。


コーヒーカップを啜りながら薫郎、

「おぅ、お疲れ。うん。行っといで。」


橙、薫郎に、

「うん。」

そして、

「あっ、ユッキ。」


「…ふん…???」


キョトンとしている薫郎に橙、少し躊躇って、

「…あ、あ~~。」

目をキョロキョロとさせて、

「…うん。行ってきます。ありがと。」

そして小走りになる橙、スタッフたちに、

「お疲れさまでした~~。」


薫郎、振り返り、

「…ありがと…う…???うん…???」



その15分後、

「さ~~て、私らも帰るか~~。終わった~~。」

万美。そして、

「かかかか。もう…日々のお見舞いも、なしだね~~。チーフ殿…。」


翠、後ろからの声に、

「…ん…???うん。まっ、そだね~~。」

声を小さく。


「あらら、何だから…浮かない声…。」






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