翠と橙(みどりとゆず) vol.197 「今まで、ず~~っと…。」
午後6時のジェシカ。
「あっ。確か、遊馬君のリハビリ、終るの…今日だったよね。ねね、ゆず…???」
少し顔を橙の方に向けて尋音。
向かいの席で橙、
「あ~~はい。」
時計を見て、
「もう、とっくにアパート、帰ってると…。」
「んじゃ、今日は、まっすぐ…???」
そんな尋音の声に橙、顔を少し傾けて、
「ん~~~。うん。」
尋音、
「なによ~~。どうしたよ~~。大事な彼氏~~。」
橙、
「はははは。」
「いいじゃん、いいじゃん、幾ら、ゆずがユッキの事…好きだって。今まで、ず~~っと、遊馬君の事、思ってきたんだから…。それは、それで、良いと思うよ。」
橙、そんな尋音の声に、
「ん~~。うん。はい。分かりました。」
「よろしい~~。」
そこに万美、
「ふん…???どしたの、何が、よろしい…???」
「あっ、万~~。頼まれてたナカセの生地サンプル。」
陽詩。
「ほぃ。」
万美、
「あ~~。はい、ありがと。待ってました~~。」
尋音、
「遊馬君、今日なんだ。リハビリ…終了。」
万美、
「あ~~。はいはい。うん。確か、3週間でリハビリ、終了させるって。その宣言通り。みども言ってたから…。」
「だから、今日はアパートにまっすぐ。」
尋音。
万美、
「う~~ん。ゆず、そうしな。」
尋音、
「ところが、ゆず、首…傾げてんだよね~~。」
万美、
「えっ…???」
「かかかか。うんうん。そうなの。…で、また、例のあのエンジニア…。」
橙の席をぐるりと曲がって翠。
万美、
「おぅおぅ。ロンドの草島さんか。」
翠、
「はいはい。ちょっと待ってくださ~~い、今、見てます。」
マウスで受信ボックスをポチッ。
「あ~~。はいはい、来てます。…はい。分かりました~~。……えっ…???あ~~はい。ふふふ。流歌さんにも…ご心配掛けました~~。今日、無事に、リハビリ…終了と言う事で、連絡、受けてま~~す。」
ずっと、そんな翠を見ている尋音と万美、そして橙。
そんな視線に気づいてか翠、顔を傾げて、
「あっ、はい。うんうん。待ってま~~す。今度は私が…ご案内。はい。では…失礼しま~~す。」
万美、
「何、草島さん…???」
翠、
「ふん。そう。来週、こっちに出張で来るんだって。だから…今度はこっちで一緒に食事しよう~って。」
「ふ~~ん。…で、草島さんも…遊馬君の事…???」
「ふん。神戸に行ったときに、流歌さんとデパート案内してもらってた時に、偶然、遊馬君とバッタリ。それから一緒に食事して。だから、今回の脳梗塞は、彼女もびっくり。しょっちゅう、あれから電話でも連絡してたんだ。」
万美、
「ふ~~ん。」
尋音、小さな声で、
「そう…だったんだ。」
翠、
「ふん…???どしたの…???」
そこに尋音、
「うん。だから…その遊馬君、今日、リハビリ終了。だからゆずに、今日はまっすぐアパートに帰りな。って…。」
翠、
「あっ。あ~~。うんうん。ゆず、そうしてあげな。」
橙、そういう翠に、
「うん。…でも…。」
困ったような橙。うじうじとしながら。
そんな橙を見て翠、いきなり、橙の傍に、
「ゆず、ちょっとおいで。」
橙の左腕を掴んで。
橙、
「チーフ…。」
橙の左腕を引っ張って、廊下に向かう翠。
万美、
「おやおや。」
尋音、
「みど…。」




