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翠と橙(みどりとゆず) vol.194 橙、思わず、小さくガッツポーズ。

舗道を歩きながら翠、

「まっね~~。…でも、仕事中だよ、今、日本橋~~。これからもう1件…寄るとこ、あるんだけど…。」


隣ではスマホで話している翠を見ながらの、椎名璋子(しいなしょうこ)。


「とにかく、退院おめでと。さすがに、早いよね~~。普通なら、2ヶ月は入院って、奥村師長も言ってたけどね~~。」


隣で璋子、不思議な顔で…。

「…ん…???ユウマって…一体…誰…???退院って、誰の事…???ユッキ…もう…退院してるけど…???はい…???」


翠の声を聞きながら巽、

「うん。俺自身もそう思ったけど…。なんでか…、体が動くんだよね~~。不思議な感じ…。」


そんな巽の声に翠、

「だってユウマ。ユウマ自身…、強いもん。ほら、高校の時だって…。」


その声に巽、

「あ~~。そういえば…。」



かつて、病院の屋上で翠に話した、癌で死んだ女の子の話。そして、

「こんな事で、くたばって堪るか。」



翠、

「あの時の事、しっかりと覚えてる。私も…救われたもん。」


巽、

「かかかか。そっか~~。うん。そうかも…知んない。」


璋子がタクシーを拾って…。


翠、

「あ~~ユウマ。じゃ、これから急ぐから、夕方、そっち行く。」


巽、

「あぁ、ありがと。…あっ、それから杉浦…。」

いきなり耳に届く、通話切れの音。

「おっと。切れた…か…。」


そして、その5分後に、着信。


「店長~~。もしもし。」

「あっ、巽君~~。退院…決まったみたいで…。」


珂帆の声が耳に。

「はい。」




1時間後、ようやく新作の打ち合わせが一段落して、

自分のスマホを手に取り、取引先から…、

「何か…???え~~~!!!」


傍にいたスタッフたち、

「ん~~???ゆず~~???」


目の前の尋音。そして左を見ても万美、席を外している。


橙、スタッフたちに、

「あっ。いえいえ…、うん。なんでも…。」

そう言って、橙、思わず、小さくガッツポーズ、

「や~~った。巽、退院決まり~~。はははは。」

そしてすぐに後ろ向きになり、少し小走りで…。行き着いた先。


「おぅ…ゆず~~。」

薫郎である。


「ねね、ユッキ。」

「…ん…???」


「飛香ちゃんも…。」


飛香、キョトンとして。


橙、

「巽、退院…決まった。ラインくれた。」


薫郎、

「わっほ~~。良かったじゃ~~ん。うんうん。」


飛香も、

「わ~~~。おめでとう~~。へっ…???」

顔を薫郎に向けて、

「でも…、遊馬さん…、入院から、退院って…、早いですよね。」


薫郎、

「あ…。あ~~そっか…。まだ…2か月…経ってないんじゃ…。」


「うんうんうん。」

喜ぶ橙、

「早いよ、早いよ。凄いよ巽。」


飛香、

「良かったね、ゆずちゃん。」


そんな飛香を見て橙、何かしら、不思議な感じはしたものの、

「うん。」


薫郎、

「ゆず~~。夕方、仕事明けたら、行ってあげなよ。遊馬君。」


橙、

「うん。ありがと。」


「フレバーの方…???」

「うん。進んでる。」


「頼んまっせ~~。」

「うん。分かった。」


「阿川さんとは…???」

「う~~ん。時々連絡取ってる。」


「おぅ。」



そして、フロアに戻ってきた尋音、万美にそれぞれ耳打ちして…。


尋音、万美、それぞれ、

「うほほほほほほ~~。なんと…、なんと、嬉しいニュース。」

尋音に目を向けて…。


尋音、笑顔で頷く。


万美、

「…当然…、コバちゃんには…、みどから…。」

頭の中で…。

ゆっくりと呉羽の傍に万美、

「失礼しま~~す。みどから…、何か…???」


呉羽、

「ふん…???みどから…???あ~~うん。遊馬君…退院…決まったって…。1時間前に、連絡あった。」


万美、

「わお。それは、それは…。」

頭を下げて自分の席に万美。


その万美に笑みを、呉羽。そして、橙を見て、また笑みを…。






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