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翠と橙(みどりとゆず) vol.193 柴乃、「最近、ルッポラの方々…、見えませんよね~~。」

テーブルの準備をし終えてカウンターに柴乃、

「最近、ルッポラの方々…、見えませんよね~~。」

珂帆に。


珂帆、

「ふ~~ん、そうね~~。まっ、巽君が入院しているからね~~。これだけは…、仕方ないよ。…でも、デリバリーでは…いつも皆さん…、助かってるらしいよ。そんな風に聞いてる。」


「あれから…1ヶ月かぁ~~。ん…、それ以上…???巽君…、入院して…。」


「うん。」

そう頷いていきなり珂帆、

「ぷっ。それにしてもさ。柴乃も気づいてない…???巽君の…なんとも、日増しに顔の表情、良くなってきてんの。」


そんな珂帆の声に柴乃も、

「うんうんうん。そうそう。私もそんな感じ~~。私も…週に、2回くらいは、見舞いに行くけど、今なんて、凄い、にこやかになってるよね~~。」


珂帆、

「なんでだろ。脳梗塞だよ、脳梗塞。普通だったら、体、右側、麻痺してて、そう…簡単に…。」


「うんうん。」

「看護師さんに聞いても看護師さんも驚いてた、昨日見舞いに行ったとき、チラっと訊いたんだけど…。」


柴乃、

「巽君…、もしかして、あいつめ、心臓に毛が生えてんのか~~???」

腕組みをしながら。


そんな声に珂帆、柴乃に指さして、

「もしかしたら…そうかも…。かかかかか。」


「ま~た、またまたまた、店長~~。」




実際、巽の回復力はその若さも体に反映しているのか、早い回復力だった。

そして、遂に、入院40日となった時点で、医師からの退院許可が出た。


病室で知美、医師に向かって、涙を流して、何度も何度も頭を下げて、

「ありがとうございます。ありがとうございます。」


美南、

「遊馬さん。うんうん。ようやくですね。遊馬君の頑張り、凄いですよ、ほんと。」


知美の傍で、知美の右肩を何度も何度も撫でながら達樹。

こちらも涙を流しながら、

「うんうん。かあさん、頑張った、頑張った。」


「奥村師長、沢木さん。本当にありがとうございました。」


麗奈、小さな声で、

「いえいえ…。一番の功労賞は、とにかく…、遊馬君です。とにかく、かっこ良過ぎ。さすがに若いですよ。……そして、なんとも、多くの人に恵まれてる。」


医師、

「とにかく、おめでとう。但し、今後も焦りは禁物。モチベーションは大切に。なっ、巽君。」


巽、ベッド上で、

「はい。富塚(とみづか)先生。ありがとうございます。」



そして、1時間後、達樹が仕事に戻り、知美も買い物をしながらと、病院を後にしていた。


誰もいなくなった病室で、ようやくそれぞれにライン。


翠のスマホに、バッグの中でラインの受信音。

翠、

「…ん…???」

出掛け先の帰り。歩きながら…。



橙のスマホにもラインの受信音。橙の机の上。

橙は離れた場所で、新作の打ち合わせ中。

あれこれとチェックと素材の比較に意見が交わされている。


珂帆のスマホにも、机の上、珂帆、

「…ん…???」



翠、

「う~~わっ。ユウマ…退院決まった~~。はははは。」


珂帆、

「おやおや。巽君、おめでとう~~。」

そしてすぐに指をポン。

けれども、

「あ~~れ~~。話し中って…。…ことは…。かかかか。な~~るほど。」


巽、ベッド上で、スマホの向こうに、

「かかかか。さすがに早い。仕事中じゃなかったの~~。」






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