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翠と橙(みどりとゆず) vol.189 涙声で、「…うっ…。バッカだぁ~~。私…。」

そんな橙の肩を撫でるように飛香、

「ゆず…ちゃん…。」


数秒後、橙、目から流れる涙を右手で拭いながら…、涙声で、

「…うっ…。バッカだぁ~~。私…。うぅ…。」


万美、尋音、

「ゆず…。」


「全然、全く…。勝てる訳。ないじゃん。チーフになんて…。うう…。」


飛香、

「ゆず…ちゃん…。」


「巽…、脳梗塞になって…入院してから、笑顔…見れなくなった…。」


万美、尋音、

「……。」


「な~~んか…変だな~~って、思ってた。そして、今、その意味…分かった。」


「ゆず…。」

万美。


「たまに、病室でチーフと一緒になるとき、ある。」


尋音、

「うん。」


「巽、私より、チーフの顔…見るのが多い。」


万美、

「えっ…???」


「なんだか…、それが辛くって…。…でも、今まで、巽、私の事、いっつも守ってくれた。」


尋音、

「うん。」


「アパートで、いっつも、私にご飯、作ってくれた。」


その瞬間、万美、尋音、飛香、

「へっ!!!!」


「いやいやいや。アパートでご飯って…ゆず…???」

万美。


尋音、

「うんうんうん。はい…???」


少し治まったのか、バッグからハンカチを出して、涙拭いながら、

「ごめんなさい。私今、住んでいるアパート。巽のアパートの部屋の隣。」


途端に万美、尋音、

「え゛~~~~!!!!」


飛香、

「うっそ。」


「でも…、今の巽、な~~んだか…、違うな~~って…。」


万美、

「ゆず~~。」


「なんか…、遠くに行っちゃうのかな~~って…。うっ。」

ひと呼吸置いて、

「そんな時、フレバーの阿川さん。」


万美、尋音、

「阿川さん…、はいはい。うん。」


「杉浦君、ゆずちゃん、付き合っている風に見える。恋人同士って思ってた。って…。」


万美、

「おぅおぅおぅ。」


尋音、

「ありゃりゃ。」


「阿川さんにも、杉浦君には今、同棲中の人、いるんですって…言ったら…。」


万美、

「うん。」


「そんなの関係ないよ。とにかく、ゆずちゃんの気持ち、素直に…って。」


万美、

「う~~ん。」


「ユッキ、凄い、優しい。」


尋音、

「かかかか。うんうん。その通り。」


そして、何を思ったか、橙、いきなり、

「私もっ!!!!」


万美、尋音、

「えっ!!!」


「私も。私も。初恋の人、ユッキなのっ!!!」

テーブルに両肘、そしてハンカチを両手で握ったままでオデコに付けて。


その瞬間、3人、

「え゛―――――――――――っ!!!」







駅の構内、お互いの向かうホームに。


飛香、階段を上りながら、

「ゆず…ちゃん。」


万美と尋音、

「……。」

「万~~。」


橙、目の前…開いたドアの中に…。






半分程度の客になった店内。


雅樂、

「みど、上がりな。ユッキ、上で、休んでんだろ。」


翠、

「うん。分かった。」


「ありがとよ。」

「うん。お休み。絃~~。」


絃、

「うん。おやすみ。…大丈夫…???」


そんな絃に、作り笑顔で翠、

「ふん。大丈夫。」


絃、頭の中で、

「…みど…。」


雅樂、翠がいなくなった厨房で、

「いやいや。全く…。なんだってな~~みど~~。ユッキ…。けけけけ。」

そして雅樂、

「俺ぁ~~。なんつったっけ…???その…巽って…。遊馬ってか…。ユウマ…???会った事ぁ~~。ねえぞ。」

ぼそりと。


そんな雅樂に絃、

「雅樂…じぃ…。」




部屋に戻って翠、

「はい。上がり~~。」


薫郎、

「おぅ、お疲れ~~。ごめんな~~。手伝えなくって~~。」


「かかかか。な~~に言ってる、病み上がりの人間が~~。体力…付けようよ。」

「おぅ。」






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