翠と橙(みどりとゆず) vol.185 薫郎、退院日が決定。
そしてその後、薫郎の病室には、ジェシカのスタッフが日々訪れ、
その都度情報交換。もちろん、医師の許可の下。
そしていよいよ、薫郎、退院日が決定。仙台から東京、大よそ12日が経過していた。
巽は巽で、日々リハビリに専念。こちらも日々、
見舞いに来ている人々からの激励もあってか、医師も驚くほどの回復ぶり。
しかも、驚いたのは医師ばかりでなく看護師たち。
麗奈、
「しっかし、なんなの…巽君。脳梗塞で、こんな早い回復ぶり…、普通…考えられないよ。ねぇ、師長。」
そんな麗奈の声に美南も、腕組みしながら、にやりと、
「まぁ…、あれだけ毎日、見舞いの人たち。しかも…、かかかか。その9割が女性なんだから…、モチベーションは…上がるよね~~。」
「うんうん。特に、ゆずに逢坂さん…。…逆にこっちが、仕事…大丈夫なのか…心配するよ。」
「羨ましいよ、巽君。うん。頑張れ~~。」
巽も美南と麗奈に、
「ありがとうございます。」
そんな巽に、麗奈、いきなり腰を低くして、
「ねね、巽君。ゆずと逢坂さん…、どっちが好き…???」
ニッコリと、一文字の口。
その瞬間、巽、
「えっ!!!え~~~!!!」
美南、
「こら~~。麗奈~~。」
麗奈、
「は~~い。ふふふふ。」
「ま~~ったく~~。」
そして美南、
「もしかし…、逢坂…さん…っかな~~~。うん…???」
巽、
「師長~~。」
変顔で…。
事実、翠にしても橙にしても、仕事が終われば、橙は最初に巽に見舞い。
そして翠は薫郎の見舞い、その後、巽には翠、薫郎には橙。
確かに、傍からみれば、疲労感はあるだろうとは思われた。
けれども、何とか、精力的にふたりは見舞いを繰り返していた。
好きな人の…ため…だからなのか…。
そして、晴れて薫郎は退院。病み上がりを考慮しての仕事に専念していた。
他のスタッフたちのフォローもあり、着実に仕事を熟していた。
絃も薫郎の退院と共にふたりの部屋から自分のアパートに戻り、
また再びのひとり暮らし。
そんな中、薫郎が病院を退院した2日目からだろうか、
ひとつの新しい景色が…。
橙が雅楽に通い始めたのだった。
雅樂、
「なんだ、なんだぁ、ゆずちゃん、なんか…あったか…???ここんとこ、ず~~っと…だけど…???」
絃に、そして翠に、万美に尋音に。
実に橙、巽の見舞いを終えて、夜の9時前後ではあるが、
頻繁に雅楽に通い始めた。
翠、
「ゆず~~。あんた…大丈夫なの…。体…壊すよ。こんなにいっつも…店…来て…。最近、ルッポラは…???」
万美、尋音、そして飛香も…、
「うんうん。」
そんな翠に橙、顔を右左に…。
絃、そんな橙を見て、
「……。」
翠、万美、尋音、そして飛香、
「えっ…???」
「おかあさんに…。」
橙。
「おかあさんに…???」
翠。
万美、
「あぁ…、そういえば、ゆずのおかあさん、いっつも食事、部屋の冷蔵庫に作り置き…。」
尋音、
「あ~~。そうそう。」
橙、
「それ…、辞めてもらった。」
その瞬間、一同、
「え―――――――――っ!!!」
雅樂、絃、
「なんの…話…???」
翠、
「あ~~~。これ、これは…。ゆず、料理できないから、ゆずのおかあさん、いっつも部屋の冷蔵庫に料理作って入れて置いてたんだ、今までは…。」
雅樂、
「へぇ~~~。できたおふくろさんだぁぁぁぁ。…あ、いや…、でも、それとこれと…???はぁ…???」




