翠と橙(みどりとゆず) vol.184 翠、絃の頭にコツン、「おい、こら。」
病室のベッドで薫郎、
「へぇ~~。電車でそんな事…。」
翠、
「絃とふたりで大笑い。」
薫郎、
「見たかった~~。」
翠、
「あっ、そうそう、昨日…ゆず…来たでしょ。」
そんな翠に薫郎、
「あ~あ~。うん。お昼からだけどね~~。」
「昨日ね、ここ、出た後に、ライン来たんだ。」
「ふ~~ん。」
「ほら、ユッキとゆず、こっち戻ってから、ゆず、遊馬君…見舞いに行ったじゃん。」
「うん。」
「遊馬君、見舞いに行ったはいいけど…。途中、遊馬君のおかあさんが病室に入ってきて…。」
薫郎、
「うん。」
「何かしら…、ゆずに…冷たかったらしいんだ…。」
少し顰めっ面で話す翠。
薫郎、
「わお。」
「昨日、その…ライン来た時に、ゆずに電話したら、あの子…、話しながら泣いてんの。」
「泣いて…???」
「だから、ほら。遊馬君のおかあさんに…。」
「あ~~。なるほど。」
「で~~。昨日、あれからすぐにゆずのアパートに行って~。」
「ゆずのアパート…???みど…知ってんの…???」
そんな薫郎に翠、きょとんとして、
「ふうん…???ルッポラの本条さん、店長に電話して聞いた。」
その時、絃、小さく、
「ぷっ。」
「…んで、ゆずの部屋に行って、ゆずを慰めたと。」
薫郎、
「ほぅ、ほぅ…。そうだったんだ~~。…あいつ…。」
翠、
「ゆず、そんな素振り…全く見せなかったでしょ。」
「うん。」
絃、いきなり翠の肩を叩いて、
「ねね、みど。」
翠、
「ふん…???」
「あれあれ。あの話。」
そんな絃の声に翠、
「…ん…???…あぁ~~。いいよ、そんな~~。」
そして、いきなり絃に雪崩れ込むように、
「…って言うか…。」
泣きそうな顔で、
「思い出させて…くれるなよ~~。折角、忘れてたのに~~。もぅ~~。」
絃、歯を見せながら翠の顔に指さして意地悪な笑い。
薫郎、顔を歪めて、
「何…???なんの…話…???」
絃、
「あのね…。」
翠、
「絃~~~。」
構わず絃、
「かかか。みど、夢、見たんだって…。」
薫郎、
「夢…???」
そして、翠に代わってその夢の話を語って聞かせる絃。
聴きながらにして笑いだす薫郎。
そして、いきなり、
「か~~っかっかっかっか。かかかか。何それ…???誰だよ、その日坂って…???…で、何、その睦っ…???みどの子供…???くくくくく。」
笑いながら、
「けど、最後の俺と絃が結婚って…。案外…悪く…ないかも…。」
その声にいきなり絃、
「うそ――――――――――っ!!!」
翠、絃の頭にコツン、
「おい、こら。」
そして腕組みして、
「あんたもだよ、ユッキ!!!」
「かかかかか。ごめん、ごめん。」
そして薫郎も腕組みをして、
「でも、自分の好きな友達の彼氏が、いきなり自分の彼になって結婚…なんて…。絃…???」
そんな薫郎の話に絃、腕組みをして、
「ん~~。」
薫郎、
「先に、絃に謝っておくけど…。俺だったら…。ん~~。やっぱり…抵抗…あるよな。」
絃、
「…って、いうか…私は~~。まだ…恋愛経験って…???ないから~~。ん~~。分かんない。」
その声に薫郎、
「えっ!!!」
翠、
「そうなんだって~~。こう見えて、絃…彼氏…未だにいない。」
「いやいやいや。マジで…。冗談かと、思ってたけど…。マジで…いないんだ…。」
絃、
「何よ、ふたりして…。」
「いやいやいや。絃って、とにかく…誰からも好かれるって…感じだから…。」
翠、
「うんうんうん。」
絃、そんなふたりに、優しい顔で、
「ありがと。」




