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翠と橙(みどりとゆず) vol.182 「私のかあさん、逢坂澪(あいさかみお)。埼玉で…暮らしてる。」

絃の、その、「えっ???なんで、なんで…???」に、

翠、

「答えは簡単。」


絃、

「へっ…???」


「婿養子になってくれ。」

「あ~~~~。そっか~~。」


「…で、とうさんは、その女性の父親の申し出通りに、婿養子に…。」

「おじいちゃん。相当悲しがったんじゃ…。」


その絃の声に翠、

「う~~~ん。その辺の事は~~。聴いてないから…。ん~~~。」


「でも…、その…みどのおとうさん…、結婚した人って…。」

「ふん。当然、私のかあさん、逢坂澪(あいさかみお)。埼玉で…暮らしてる。小学校教師なんだ。」


「へぇ~~~。そうだったんだ~~。」

「うん。かあさんの家系は…教育系統。おじいちゃんは…高校の教頭先生…だった。」


「わお。凄っ。」

「そして、おばあちゃんは…。かかか。高校の…事務員…だった。かかかか。ふたりとも、もう完璧に、年金暮らしだよ。」


「へぇ~~。」


ふたりともに、駅に向かいながら…。


「えっ…???でもさ…、みどのおとうさんって…???」

「私のとうさん…、うん、市役所の福祉課の職員。料理人から一転。全くの畑違い。」


その声に絃、

「え~~~~。マジで…???」


「うん。…いや…、だって、とうさん、かあさんに一目惚れして、かあさんと結婚できるなら、なんでもやるって。」

「ふ~~ん。」


「それに、おじいちゃんもとうさんの、かあさんに対する献身ぶり…、分かったのかな…。とうさんに仕事、紹介したんだって。…で、市役所の福祉課。」


絃、

「ふんふんふん。」

頷きながら。


そしてひと呼吸おいて翠。

「そんな中、おじいちゃんとこの高校、バレーボール部の監督。数学の先生なんだけど、離婚してシングルパパになっちゃった。…つまりは私の高校の事なんだけど…。」


絃、笑いながら、

「わお。」


「…で、おじいちゃん、何を思ったのか、とうさんに、新しい監督が来るまで、頼めないかって…。バレーボール部の監督。」

「へっ…???みどのおとうさんって…???」


そんな絃に翠、

「ふん。中学から高校、大学まで、バレーボール部の選手。その傍ら、料理って…やつかな~~。」


「そう…だったんだ~~。」

「うん。だから、料理も得意。」


「ふ~~ん。」


駅の改札を抜けて。


翠のスマホにLINEの着信音、

「おっと~~。ゆず~~。…チーフ、昨日はありがとうございました。あの後…、ユッキにも見舞い…行ってきました。元気だった。じゃ…。…か~~。」


絃…、

「ん~~???」


「結局、ゆず、あれからユッキに見舞い…行ったんだ~~。今頃、ライン、よこしやがって~~。かか。」

ホームに立って翠。

「ふん。やっぱり…、心配だよ。自分の隣にいた人が、倒れたり、変になっちゃうと…。」


絃、

「だよね~~。」


その時、翠、

「あっ。」


絃、

「…ん…???」


画面を電話履歴に替えて指をトン。


5回のコールでようやく電話に出る橙。

「はいはいはい。チーフ、お、おはようございます。びっくりした。」


絃、

「みど、電車来た。」


翠、

「うん。今、終る。ゆず、あんた、阿川さん…電話した…???心配してるよ。」


その声に橙、

「わっ!!!いっけな~~い。」


「電話…してあげて。これから私たち、電車に乗る。」






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