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翠と橙(みどりとゆず) vol.176 「これ…、私の…勘…、なんだけど…。」口を尖らせて翠。

翠、下を向いたままの橙の顔をじっと見て。

そして今度は、テーブルに両手を着いて腰を上げ、

「…っと~~。」

橙の左から座り、橙の頭を体に引き寄せて。

「そっか、そっか。うんうん。そりゃ、泣きたいよね~~。」

橙の頭に。そして絃を見ながら…。


絃、困ったような顔で、けれども優しそうな顔で、

「……。」


数秒橙の体を抱きしめながら、

「遊馬君のおかあさん。遊馬君の事、とにかく心配なんだよ。いままでずっと、離れて暮らしてきて。そして遊馬君の顔…見れる。…と思ったら、脳梗塞。悲しすぎるよ。」

ひと呼吸置いて、

「身を切られる思い…だったんじゃないかな…。」


橙、まだ下を向いたままで、

「……。」


「でもさ。遊馬君の病室、凄いじゃん、あちらこちらに花ばっかり。お花だらけ。遊馬君、みんなの人気者なのかも…。おかあさん。ありがたいという気持ち、あると思うよ。」


少しだけ橙の頭が動く。


そして一瞬、翠がクスリと笑う。

「ふふ。それに、遊馬君…見舞いに来る人って、結構女性が多いんだって。おかあさん言ってた。」


橙、

「へっ…???」


「これ…、私の…勘…、なんだけど…。」

口を尖らせて翠。


橙、

「…ふん…???」


「おかあさん、ゆずに、やきもち妬いてる。」

「やきもち…???」


翠、そんな橙を見て首をコクリと。

「ゆず…。若いから…。そして、遊馬君に対して、一番、まっすぐだから。」


橙、翠の顔を見て、

「チーフ。」


翠、橙の頭をポンポンと叩いて、今度は座っている橙の体をまっすぐにさせて…。

立ち上がりながら、

「前ね、私、遊馬君のおかあさんから声、掛けられたの。ほら、みんなで遊馬君、お見舞い行ったとき、あったでしょ。」

窓に向かいながら…。


橙、

「うん。」


「あのとき、遊馬君のおかあさんから、私、病室の外で呼び止められた。」


橙、目をキョロキョロさせて、

「あっ。」


窓を開けて翠、

「わお、良い景色~~。ふ~~ん。へぇ~~。いいとこね~~ここ。」


橙、思わずにっこりと。

「…うん。」


絃も、

「へぇ~~。」

立ち上がり窓の方に。


「ふ~~ん、気持ちいい風。はは。」

翠。


絃、

「ほ~~んと~。良い景色…。眺め、いいじゃん。うんうん。」


橙、ベシャリと座っていたのが体育座りになって。

そして今度は、正座をして。


「あの時…。」

橙の方に振り返って翠、

「おかあさん、私に、こんな事、言った。あの子、どういう子なんです???やたら、巽に慣れ慣れしいですけど…。なんだか、図々しいですけど…。」


橙、そして絃、

「えっ…???」


「だから、私、おかあさんに、おかあさん、彼女は素敵な可愛い女性です。きっと、私たちの中で、一番遊馬君の事、心配してくれている人ですよ。大丈夫です。優しい子です。」


橙、そんな話を聞いて、

「チーフ…。」


「あの時…、私がそうは言っても、あんまり納得行かなかったみたいだけど…。」


絃、翠の顔を見ながら、

「……。」


「その内…、分かってくれるよ。」

そして、

「…って言うか~~。かかかか。ゆず~~。あんた、まだ…修業が足りん。恋愛の…。」

にっこりと。


橙、そんな翠の顔を見て、

「へっ…???」


「な~~んてね。かか。まっ、私も似たようなもんだけど…さ。」





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