翠と橙(みどりとゆず) vol.175 寝起きのままの髪…、そして頬は涙でぐしゃぐしゃ。
そして駅に着いて、もう一度スマホの地図アプリで、
「こっち。」
翠。
急ぎ足でふたり。そしてやがて、
「エ…スベラン…サ…と。」
右左見て、翠。
「あ~~っと、あった、みど、あれ…。」
絃。
翠、
「おぅおぅおぅ。いやはや…、なかなかいいとこじゃん。行こ。」
そして階段を上って、
「402、402。ふ~~。……おっと、ここ。」
翠、そして隣の部屋を見て、頭の中で、
「…ここ…ユウマの…。」
チャイムを押して…。声がない。ドアをコンコンと。
「ゆず~~。ゆず~~。私、翠~、絃もいる~~。」
部屋の中で橙、
「えっ…???チーフ…???」
まだ…パジャマのままである。
数秒後、ロックが開き、ドアが…。
翠、
「ゆず~~~。」
寝起きのままの髪…、そして頬は涙でぐしゃぐしゃ。ぶすっとした顔で…。
「チーフ…。」
口元に右手拳を…。
「どうしたの~~。酷い顔~~。」
翠。
橙、
「……。」
「入っていい…???」
ドアを開けてふたりを部屋の中に橙。
ベッドの傍にペタリと座って。
絃、
「かっわいい部屋~~。」
そして橙の顔を見て、ニッコリと。
「心配したよ、ゆずさん。」
翠、腕組みをして、
「おぃ。どうした、可愛い顔が、とんでもない顔になってるぞ。」
ソッポを向けながら橙。
「遊馬君も…心配してる。もちろん、ユッキも。それから…店長も…。」
その声に橙、
「えっ…???」
「電話でゆず、泣き声だったから…、心配で、店長に電話して、アパート、教えてもらったの。」
橙、
「チーフ…。」
翠、
「ゆず、あんた、私たちの妹って、わたしら、前に言ったよね。」
その声に橙、いきなり下を向いて。そしてまた、鼻水をグスッと。
「何があったの…???」
数秒後、ようやく橙、口から、
「昨日…、巽のおかあさん…。無視…された…。」
翠、その声に、
「えっ…。」
「ユッキの病院から、巽の病院行ったのね。」
翠、
「うん…。」
「巽と話してたら、巽のおかあさん、入ってきて…。」
「うん。」
「巽の…昔の事かな…。いろいろと…話し始めて…。」
絃、
「……。」
「私…、聞いているしか…なかった。」
橙、また鼻水をグスリと。
翠、
「ゆず…。」
「おかあさん。全然、話、終んなくって。」
「うん。」
「巽も、おかあさんに、いい加減にしろって。私がいるだろって…。」
翠、
「……。」
「それで、ようやく私の事に…、おかあさん。少し、ツンとした顔で…。」
翠、思わず右目を瞑って、
「わお。」
「私、いてもたってもいられなくって。おかあさんの声、凄い、キツイって感じた。…あんな風に言われたの、私のかあさんくらい…だから…。」
翠、
「ゆず~~。」
「あんたなんか、早く出ていけ。…そんな風に感じた。」
翠、いきなり顰めっ面に。
「う~~っわっ。」
絃、
「あっちゃ~~。」
「私、病室出て…。」
下を向いたままで橙。
「うん。」
翠。
「歩いてたんだけど…。いつの間にか、タクシーで、帰ってた…。そのまま…ベッドに…。」
ベッドの下には、確かに、昨日橙が着ていたはずの洋服。脱ぎ散らかしたままで…。
その洋服を橙、さりげなくベッドの下に左手で隠す。
翠、
「そっか~~。」




