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翠と橙(みどりとゆず) vol.170 「ふ~~ん。…絃って、彼って、いないの…???」

通りを歩きながら、

「さすがに…人の数、少な…。」

絃。


「そりゃそうだよ、土曜日だもん。それに…、今日から3連休。絃もまだ、大学、夏休みでしょ。」

翠。


「ふん。9月…下旬まではね~~。」

「絃、休みの時は…何やってんの…???」


そんな声に絃、

「私…???ふ~~ん。たま~には…友達と出掛けたり…してる~~。」


「ふ~~ん。…絃って、彼って、いないの…???」

「へっ…???私…???いやいやいや。いない、いない、いない。」


「う~~~っそ。こんなに可愛くって、素敵で、優しい女性が…???」


そんな驚きの目で見る翠に絃、

「いやいやいや。とんでもない。私なんて。私より、凄い女の子、大学に何人もいるし…。私なんて、全く着いて行けてない。」


「う~~っそ。そうなの…???絃より素敵な女の子、どんな女の子よ。想像着かない。」


「いやいやいや。全然、全然…。」

両手で胸の前で×を作って両手をひらひらとさせる絃。


「世の男ども、節穴か…。」

腕組みしながら翠。


そんな声に絃、

「かかかかか。」

そして辺りを見回して絃、

「今頃、ユッキ、起きたか~~。」


翠、

「ふ~~ん。」


「ねね、みど…。」


「ん~~???」

絃の顔に…。


「みどって…遊馬さん…、好きなの…???」


その声にいきなり翠、驚いたように、

「へっ…???」

そしていきなり顔を赤くして、

「な…、な…、何、言ってるの、いきなり。」


絃、

「あ~~。赤くなった。シシシシシ。」


そんな絃に翠、何かしら落ち着かない面持ちで、

「な…なに…。あ、あのね~~。…ったくもう~~。」


絃、笑いながら、

「かかかかか。」

足でステップを打つように、

「図っ星っかな~~。」

そして翠の少し前を歩いてくるりと翠に後ろ向きで向き直り、ニッコリと。


翠、

「この~~。可愛い顔して、恐ろしい事…言うね~~。こやつ。」


絃、そんな翠に、ニッコリと顔を左に傾けて…。


「そもそも、なんで私が、ユウマ…好きって…。」

そう言ってしまって、途端に、自分の口を押えて、

「あっ。」


絃、思わず目を見開いて、

「あっ!!!今、ユウマって言った。」


翠、途端に、右目を瞑って…。

「わっちゃ~~。」


「かかかか。や~~っぱり、遊馬さん、みどの、初恋の人だったんだ~~。」


その声に翠、顔を顰めて、口を尖らせて、

「…んもぅ~~。こんにゃろ。」

絃に舌を出して、

「べぇ~~~。」


絃、

「かかかかか。」


一拍置いて翠、

「…ん~~。でもさ。なんで…絃、分かったの~~。…んん、遊馬君が、ユウマ…。…んん、つまりは…私の初恋の人だって…。」


その翠の声に絃、

「ふん。実は~~。あたし、この前、遊馬さんの病室、みどとユッキと一緒にお見舞い…行ったじゃない…。」


「ふん。」

「でも、あの時、遊馬さん見たの、初めてじゃなかったんだよ。」


「へっ…???」

キョトンとして翠。


「ほら、みどが裏の玄関で、柱に背中付けて眠ってた。」

「ふんふんふん。あった、あった。」


「あの時、私が、みどを起こしたよね。」

「ふん。」


「あの時、なんで、裏の玄関にみどがいるの分かったか…。あの時、ユッキも知らなかった。」


翠、あの時の事を思い出して、

「あっ…。」


絃、

「あの時、遊馬さん、お店に入ってきて、私にみどが裏の玄関にいるよって…教えてくれたんだよ。ほんの数秒だったけど…。」





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