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翠と橙(みどりとゆず) vol.169 「世の中の男は…。何やってんのかね~~。」

病室のベッド上で巽、雑誌を見ながら…、

「ゆずに…悪い事…しちゃったなぁ…。…ったく、かあさんも…、余計な事…。」



けれども巽、母親から言われた、

「巽っ!!!あんた、あの木葉さん、好きなのかい。」


そう言われて、いきなり、

「ドキン。」


実際、母親には…、

「いきなり、何言うんだよ。…んな事…。」



口を濁したのである。思わず溜息を突く巽。

「ふ~~~。」





そして片やこちら。既に誰もいなくなった個室の病室。

薫郎、

「なんとも…、広過ぎねぇか…。俺…ひとりで…。おぃおぃおぃおぃ。」

そのうちに、

「あいつ…、遊馬君、どうだったんだろ…。」

妙に橙の事が気になる薫郎。



「…なんか…、落ち着かねぇよな…。」





そして、仙台では…。

「ゆずちゃん、東京…着いたのかな…。連絡ないけど…???」

渚沙である。





「ん…ん~~…。」

右側に寝返りを…。左手を大きく前に…。

けれども、左手が落ちたのは…シーツ。

「…ん…???絃…、起きた…???…ん~~。早~~~。」



既に下に降りている絃。

流しで歯を磨いている雅樂に、

「おはよ、雅樂じぃ。」


雅樂、

「おぅ、おはよ。何、散歩かぃ。」


「うん。」

「気ぃ付けてな。」


「は~~い。…あっ、雅樂じぃ、ユッキ、10時で良いんだよね。」

「おぅ。仕入れの前に、見舞いに行く。…おめぇの方は…???」


「うん。今、大学は…夏休み~~。」

「かかかか。そうでやんした~~。」


「じゃ、行ってきま~~す。」

「おぅ。変な奴に引っ掛かんじゃねぇぞ~~。おめぇのアパートとは違って、駅…近ぇから。」


「わ~~かってる~~。」



うがいをして雅樂、

「それにしても、あれで、彼氏のひとりもいねぇってぇ言うのが、世の中…分からねえ…。」

顔を洗って、そして顔を拭いて、

「あの歳でよ、こうで、こうだよ。」

両手で胸の前で手を、そして、尻の方に手を。

「世の中の男は…。何やってんのかね~~。…そう…思わねぇかよ、おぃ。」


「…って…、誰に何、言ってんのよ、雅樂じぃ…???」

後ろから…声。


「へっ…???誰に何って…おめぇ…。」

いきなり、

「うぇぇぇぇぇぇ~~。びっくりした~~。おま…、そこ、いたのけぇ。」


翠、

「うん。」


「いつから…???」

「いつからって…。何、胸の前と、お尻で…???あの歳で…、何が…どうの…???世の中の男…???何の話し…???…だい…じょう…ぶ…???」

雅樂の顔の前に顔を付けて、そして雅樂のオデコに右手を。

「熱は…ないよね。」


その瞬間雅樂、顔を思いっきり顰めて、

「あったりめぇだ。」

そして、タオルを掛けて、

「そう簡単に、くたばって堪るけぇ。」


そんな雅樂に翠、

「かかかか、それより、絃…???」


「あぁ…。散歩、行った。まだ、その辺…歩いてんじゃねぇか…。」

「ふ~~ん。…あっ、雅樂じぃ、ユッキ、10時ね、頼むよ。」


「おぅ。絃もそのこと、言ってった。」


翠、

「かかかか。うん。」




そして翠、表に出て、通りの方に、右を…、そして左を。

「あっ、いたいた。絃~~。」


その声に振り向いて絃、右手を挙げてにっこりと。


駆け足で絃に翠。

「早~~。起きたら、もう、いないんだも~~ん。」


「気持ち良くってさぁ~~。目が覚めちゃった。はは。」

「うんうん。気持ち良い朝だよね~~。」


絃もにっこりと、

「うん。」





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