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翠と橙(みどりとゆず) vol.163 「あ~~ん…???みど、スマホ…鳴ってんじゃねぇか…。」

「あ~~ん…???みど、スマホ…鳴ってんじゃねぇか…。」

俎板の上で包丁を使いながら、雅樂。


「あ~~。はいはいはい。」

客の空いた皿をトレイに乗せて厨房の中に、翠。

「ほいほいほい。おっと~~コバちゃん。はい、翠です~~。お疲れ様です~~。」


車から降りて呉羽、

「はいおつかれ、みど。1時間前に、ボスから連絡入って、ユッキの転院手続き、完了したって。明後日、仙台から東京に転院する。東京の病院は、勝浦総合病院。会社から、それほど、遠くない病院…みたい。」


翠、

「わぁ~~。良かった~~。」

そして雅樂に、

「ユッキ、転院手続き、決まったって。」


雅樂、

「おぅ。そうかい。んじゃ…顔、見れんな。」


翠、

「うん。」

そして、

「ありがとうございます、コバちゃん。」


呉羽、

「うん。ゆずには…、ボスから連絡いってるから。」


「は~~い。」

「ん~~???その分じゃ、また、お店、手伝い…???」


翠、

「はははは。お陰様で、満席で、ございます。」


呉羽、目を見開いて、唇を絞らせて、

「おやおや…。嬉しい悲鳴…。雅樂じぃに…よろしく~~。絃にもね~~。」


翠、

「は~~い。伝えておきま~~す。」


スマホの向こうから、

「お姉ちゃん、生、お願~~い。」

その声に呉羽、

「お疲れ。はは。頑張って~~。」


翠、

「はい。お疲れさまで~~す。」


そして、

「ごちそうさ~~ん。」

4人の客。


絃、

「ありがとうございました~~。」

そしてガラリとドアが開き、絃、

「いらっしゃいませ~~。あ~~っと…。」


「あっ。はは。大丈夫、大丈夫、絃、OKよ。どうぞ、こちらに~~。3名様。は~~い。」

翠。


今度は焼き鳥を焼き始める雅樂、

「らっしゃ~~い。」





そして2時間後、部屋の冷蔵庫から缶ビールをグィグィと。

「はぁ~~~。おいっしぃ~~。ふぅ~~。」

口を尖らせて翠。


部屋のドアが開き、

「みど、ほぃ、賄い。私、もう少し、掛かるから。」

絃。


翠、

「あいよ~~。ん~~。おいしそ。いっただっきま~~す。」




そして、夜の11時40分。

「はぁ~~。なんか…不思議。」

絃、ベッドの中で…。


翠、

「だよね…。まさか、こんな風に、絃とベッドで一緒に眠れるなんて…。」


絃、

「ねぇ~~。」


翠、

「くく。こんにゃろ、絃、かっわいいぞぉ~~。」

いきなり絃を抱きしめて。


「わわわわ。んじゃ私も。むぎゅう~~~。」

「かかかかか。こらこら、くすぐったいって~~。」


そして、数分後…。

「ねぇ…みど…。」

ベッドのヘッドライトだけの明かりで…、絃。


翠、小さな声で…、

「ふん…???」


「もしかして…、みど…、遊馬さん…、好き…???」


そんな絃の声に翠、さっきよりまた小さな声で、

「ふん…。」


その声に絃、

「へっ…???うそ…???」

顔を翠の方に…。

「うそ…。もしかし…。寝た…???」

絃、目を見開いて、

「は~~~っや。」

そして、目をキョロキョロと。

「みど…???へっ…???今…、うん…って…???…みど…。もしか…し…。」

そして小さな声で絃、

「え~~~~。」





茶の間のテーブルの上で徳利から御猪口に日本酒。クイッと、雅樂。

「ユッキ…。気ぃ付けて、帰ってこい。うん。」

そして、

「ありがてぇなぁ~~。いろんな人に、助けられてらぁ…。けけけけ。」




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