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翠と橙(みどりとゆず) vol.161 「目ぇ真っ赤にして、涙なんか…。」

仕事を終えて渚沙、

「はい、ゆずちゃん、お待たせ。帰ろうっか…。」


橙、

「はい。」




そして病院の薫郎の病室、周りの患者さん。

そして見舞いの人、ふたりを見てニコニコと笑顔で…。

「おっ、ベッピンさんの御成~~り~~。」

薫郎の向かい斜めの患者。


それに笑って迎える見舞いの人。

「お帰り…かぃ。本当に綺麗な人よね~~。」


渚沙も橙も、かなり照れながらも、周りにお辞儀をして。


「ヨッ、兄ちゃん、羨ましいねぇ~~。」


その声に薫郎も照れながら…、

「すみません。ありがとうございます。」

そして橙を見て、

「お帰り、お疲れ。」

そして渚沙を見て、

「阿川さん、ありがとうございます。…なんか…、雅樂じぃに、言われているみたいで…。」


橙、

「はは。ほ~~んと。」


渚沙、

「うた…じぃ…???」


薫郎、

「あっ、すみません。なんでも…。」


そして何故か鼓動が高鳴る橙。

薫郎の顔を見て、いきなり顔を赤らめて、目を潤ませて…。


そんな橙を見て薫郎、

「…???…ゆず…???」


名前を呼ばれて橙、思わず、

「ふん…???」

そしていきなり鼻水を啜り、

「グスン」

けれども、何故か涙が出て来る。

そして目の周りと小鼻を赤くして、薫郎の枕元に椅子を、そして腰掛けて…。

そして小さな声で、

「ユッキ…。」


渚沙は薫郎のベッドの左側で橙を見ながら…。


薫郎、

「ゆず…。ど~~したの~~???目ぇ真っ赤にして、涙なんか…。」

そして渚沙の方に顔を向けて、

「仕事で…何か…ありました…???」


そんな薫郎の声に渚沙、優しい笑顔で首を振って、

「ううん…。」

そして、

「早く良くなってあげて、杉浦君。」


涙を拭いながら橙、ハンカチで鼻を押さえてグスリ。

「ごめん、ユッキ。」

薫郎の顔を見ながら。

そしてゆっくりと息を吐き。涙目のままで薫郎を見つめる橙。


薫郎、

「ど~~したの~~。なんで、泣いてる~~???…あっ、東京から連絡…???」


その声に橙、首を振る。


「そっか…。」

「その件は…もう少し掛かるかな…。ゆずちゃんね、杉浦君の事…ものすんごい、心配してたの…。」


薫郎、その渚沙の声に、

「えっ…???」


「ゆうべ、ホテルの部屋で、杉浦君がもはや危ないって…。病室で重篤な夢…見たんですって。お医者さんからは、手術も出来ない。もはや…手の打ちようが…。…で、看護婦さんからは、関係する人たちに連絡を…って。」


驚いたように薫郎。黙ったまんまで薫郎を見る橙。


「夢、見ながら、ユッキ、死んじゃいやって、叫んだんだって。」


下を向いている橙。


そんな橙を見ながら薫郎、

「ゆず…。」


橙、黙ったままで…。


「ゆず。」


橙、

「…ん…。」

涙で目が潤んでいる。


「ゆ~~ず。」


橙、

「…うん。」


そしてベッドの傍の橙の頭の上に右手を…。

そして頭を撫でて…。

「ありがとな。」

そしてにっこりと。


橙、

「ユッキ…。」


渚沙、腕組みしながら、

「羨ましいね~~。素敵な彼氏と彼女って言うのは…。」


その声に薫郎、

「あっ。いや…。いやいやいや。俺たち…、そんなん…。」


渚沙、

「ふん。ゆずちゃんも…最初はそう…言ってたけ…ど…。」


その渚沙の声に薫郎、

「へっ…???」


「どうやら…。ゆずちゃん…。」

「へっ…???いや…、ゆずにだって…。へっ…???」






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