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翠と橙(みどりとゆず) vol.131 けれども、ゲストに対しては…最高のサービスで…。

珂帆から巽の事を聞かされたルッポラのスタッフたち、

その時点で、確実に暗いムード。

珂帆もその夜は落ち着かなく時間を過ごした。眠ったようで眠れない。


そして翌日も、店内は静かに…。


けれども、ゲストに対しては…最高のサービスで…。

ただ、スタッフたちの、それぞれのプライベートの時間は…、


殆ど、だれも口を突くことはなく…。

そして、その日、丁度早番で勤務に着いていた珂帆が、

勤務終了後に再び、巽の見舞いのために病院に。




病室のドアを開ける珂帆、

「失礼します、ルッポラの…本条と申します。」


入ってきた女性にいきなり椅子から立ち上がりお辞儀をする。

「お父さん、巽が仕事をしているところの店長さん。」


そんな妻の声に、入り口に振り返り、女性に、

「あ~~。これは、これは、この度は…。」

そう言ってお辞儀をする。

「巽の父親の…、遊馬…達樹(あすまたつき)と申します。」


珂帆、

「初めまして…。」

そして、ベッドに近づき、

「遊馬…くん…???」


知美、

「今…眠ってます。」

そしてにこやかに、

「昨日…、あの…点滴をやってもらって…。」


珂帆、

「はい。」


「あれから1時間…しなかったかと…。意識が戻りまして。」


珂帆、

「あら~~。」


知美、

「え~~。先生の話だと、塞がれた血管が、再開通されました…とのことで…。」


珂帆、

「良かった~~~。」

思わず目を潤ませて、笑顔で…。

「じゃあ、看護婦さんの…言った通りに…。」


「えぇ…。私も今朝、病院に着いたばかりで、話を詳しく…。」

達樹。

「何とお礼…言っていいやら。本当に、ありがとうございます。」


知美、

「この子、意識…取り戻してから、すぐに…。ごめんなぁ、こんな事になっちゃってって…。」


その知美の声に珂帆、

「うんうん。」

鼻をハンカチで押さえて。

そして、

「あ…、あの…、おかあさま…、そして、…あの、失礼ですが、あの…、後遺症の方は…???」


その珂帆の声に、また知美、にっこりと笑顔で、首をコクリと、

「確実な事は…本人次第だけど…。今までの症例から言って、多分、心配は…ないかと…。確率は高いと考えてます。と…。」


その声を聞いた途端にまた、

「良かった~~~。うん。ありがとうございます。」


達樹、笑いながら、

「そんな…本条さん。私たちの方が逆に、ありがとうござました。ですよ。」


珂帆、

「えぇ。そうですね。」

そして眠っている巽の顔を見て、

「遊馬君…、良かった~~。」


「でも…、体…、片方は…、麻痺…してる…みたいですけど…。」

巽の顔を見ながら知美。


その声に珂帆、

「……。」

そして、小さくつぶやくように…、

「そっか~~。」


その時、

「ん…。ん~~~。」


唇が動いて、顔が微かに…、そして虚ろに目が…。


知美、達樹、

「巽。」


珂帆、

「遊馬君。」


巽、目を開け、

「寝てた~~。」

そして、

「…ん…???ここ…???」


「病院…。病院…。病院にいるのよ、巽…。」

知美。


巽、

「…病院…???…あっ、そっか~~。」

そして、

「あっ。みど…。」


知美、達樹、その巽の声に、

「えっ…???」


珂帆、

「あっ。」

そして珂帆、ベッドに身を乗り出して、

「遊馬君。」





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